川瀬が初スタメンで3安打の活躍
今やおなじみとなった「YAH YAH YAH」の大合唱を背に、快音を連発した。今季初スタメンで3安打2打点の活躍を見せたのは、昨シーズン何度もチームを救った頼りになる男・川瀬晃内野手。試合後のロッカールームで“天才打者”から掛けられた一言が、その存在の大きさを如実に表していた。
29日の日本ハム戦(みずほPayPayドーム)。川瀬は開幕3戦目にして「8番・遊撃」で今季初先発を果たした。「自分にとってはきょうが開幕戦だったので。やっぱりすごく緊張しました」と振り返った今季初打席。1点を追う2回無死一、三塁の場面で同点タイムリーを放ってみせた。終わってみれば3本の安打を放ち、見事にスタメン起用に応えた。
今年で11年目を迎える28歳。開幕スタメンを目指して2026年をスタートしたが、開幕から2試合は出番がなかった。いつもの登場曲「YAH YAH YAH」が流れる中、迎えた今季初打席。躍動の裏で川瀬が明かしたのは偽らざる本音。そして近藤健介外野手からの言葉だった――。
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続きの内容は
初打席の緊張をほぐした、スタンドからの「意外な音」とは
前夜まで出番なし…それでも腐らず準備を完遂できた思考法
近藤健介も脱帽!試合後のロッカーで贈られた「最高の褒め言葉」
「これから先、何年野球をするかわからないですけど、あの緊張感だけは慣れることが絶対にないと思います。でも初打席は周りの声がすごく聞こえていました。わざと応援歌やベンチの声を聞いて、緊張をほぐしていました」。緊張感の中で耳に届いたスタンドの大声援。「やっぱり火がつきました」と振り返る。
この日のスタメン出場を知らされたのは、球場入りした直後だった。渇望していた出番に「やっと来たかと。例年より少し早かったですけど(笑)」と試合前から高ぶる感情はあった。しかし、ベンチで戦況を見つめた開幕2試合とやるべきことは変わらなかった。
「いつも朝起きたら、スタメンの気持ちで常にグラウンドに来る。そこは常に大事にしているので。準備を怠らず、スタメンじゃなくても自分が輝ける場所を常に探しながらやっていくのが自分の仕事。もちろん、そこは変えずにやっていました」
日本ハムの先発は、昨季までホークスに在籍していた有原航平投手。試合前のアップ時には、“元相棒”の海野隆司捕手に歩み寄り、ボールの軌道や昨季までの配球について助言を求めた。万全の準備を尽くして臨んだからこそ生まれた、必然の活躍だった。試合後のロッカールームでは、近藤健介外野手からふいに声をかけられた。「お前、野球うまっ!」――。球界最強打者も称賛するほどの働きぶりだった。
逃した開幕スタメンも「それは別物」
今年で11年目。オフから開幕スタメンを目指して鍛錬を積んできたが、その座を掴むことはできなかった。それでも、きっぱりと言い切った。「『開幕スタメンを取れなかった』(と腐っているの)では、自分の価値を下げてしまうだけ。開幕したらそれは別物なので」。チームの一員として、自らの“思い”よりも勝利のために、今できることを全力で全うしている。
小久保監督も「川瀬が初スタメンでね。『8番ショート川瀬』が本当に機能したなという打線でしたね」と絶賛。突然の出番にも、常に自分の役割を全うする姿――。本人にしてみれば、「いつものこと」を淡々とこなしている感覚なのかもしれない。結果を出したいという欲を抑え、己の役割に徹する。言葉で言うほど簡単ではないその振る舞いこそが、川瀬晃という男の真骨頂だ。
(森大樹 / Daiki Mori)