チームの到着1時間半前に…甲子園に現れた師弟
春季キャンプが終わっても、2人だけの“日常”は続いている。ホークスにとってオープン戦で初の「遠征試合」となった6日の阪神戦。甲子園のグラウンドでホームの阪神ナインが練習する中、現れたのは山川穂高内野手と秋広優人内野手だった。チームが球場に到着する1時間半ほど前から身体を動かす姿からは、今季にかける思いは十分に伝わってきた。
「もう6年目なので、やるしかないというか。怪我をするくらいまで練習して、打てなかったらしょうがないと思えるくらいやってみないと後悔するなと思ったので。本当にこの1年が勝負だと思っています」
強い言葉で決意を口にした秋広だが、その表情に悲壮感はない。ホーム、ビジター関係なく、アーリーワークを続ける計画は、実に4か月前から練られていたものだった――。そして、オープン戦でチームトップの2本塁打を放つ活躍を見せる“弟子”を見守る山川穂高内野手が口にしたのは、まさかの評価だった。
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続きの内容は
秋広を突き動かす「もう6年目だから」の真意
山川が斬る! 秋広の現状への「まさかの評価」
秋広が劇的に変わった山川の「ある一言」とは
「このルーティンを続けるために11月から自主トレで体を作ってきたので。山川さんも練習量をしっかり確保できたシーズンは打てていると言われていましたし、僕はまだ年もそこまでいっていないので。『山川さんほどの選手がこれだけ練習しているんだから』という思いになれますね」
昨年の日本シリーズ終了直後から行われた山川の自主トレは、“地獄の日々”と呼べるほどの過酷なトレーニングの連続だった。その目的は、シーズンに入っても練習量を維持すること。1年間にわたって誰よりもバットを振り続けるためだった。
秋広が口にした覚悟「6年目は切られる年数」
上手くなるためには練習するしかない――。言葉にするのは簡単だが、そこには並々ならぬ覚悟が必要だ。それでも秋広はさらりと言った。「やっぱり苦しいシーズンが2年続いているというのもありますし、本当に6年目っていうのは(契約を)切られる年数でもありますし。どんどん若い選手も入ってくる中で、そういう思いは勝手に芽生えましたね」。
決意を胸に黙々とバットを振ってきた効果は如実に表れ始めている。オープン戦ではチームトップの2本塁打をマーク。打率こそ.222だが、出塁率.364、OPS.975と高い数字をキープしている(10日現在)。
成長を示す弟子に対し、山川はあえて厳しい言葉を口にした。「まだホームラン2本とかでしょう? (オープン戦は)10試合も終わっていないわけですから。シーズンで30発、40発と打った時に初めて『ああ、やったね』ってなるし、それが2年、3年と続いた時に初めて認められる世界なので。オープン戦でちょっとホームランを打ったくらいで、周りが『すごいすごい』となるのは、元(の期待値)が低いからそうなってるだけであって。あのバッティングを1年間継続できたら、まあいいなと思います」
山川の“辛口評価”には、もちろん23歳への期待がこもっている。「秋広は良くなるのが早かったですね。バッティングについて『ちょっとこうしてみたら?』という話をしてからすぐに良くなりました。あとはここからどう継続できるかですよね」。
4か月前から念入りに練られていた“計画”が奏功するかは、シーズンが終わって初めて分かる。どこまでも目標の高い師弟の姿をシーズン中もみることができれば、おのずと結果はついてくる。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)