B組スタートは「覚悟していた」…川村友斗の本音 柵越え連発に確かな自信「えぐいっす」

川村友斗【写真:竹村岳】
川村友斗【写真:竹村岳】

「もちろんA組が良かったですけど…」川村友斗の本音

 2月1日に幕を開けたホークス春季キャンプ。B組の練習が行われている生目の杜第2野球場で、右翼の防球ネットに直撃する豪快な当たりを連発していたのが川村友斗外野手だ。「風のおかげです」と謙遜するが、その表情は充実感に満ちていた。

 昨シーズンは苦難の連続だった。5月の2軍戦で右手有鉤骨を骨折。3か月に及ぶ過酷なリハビリを経て実戦復帰を果たしたものの、1軍では15試合の出場で安打はわずか1本。プロ5年目を迎える今季が勝負の年になることは、誰よりも本人が理解している。

 外野の定位置争いは熾烈を極める。同学年の正木智也外野手や山本恵大外野手がA組スタートを切る中、川村は自身の“立場の変化”を冷静に見つめていた。「もちろんA組が良かったですけど……」。そう切り出した言葉には、偽らざる本音が滲んでいた。

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苦悩の中で掴んだ、覚醒への打撃「感覚」とは
入団1年目から恩師が教え込んだ「プロのイロハ」
B組から「オールスターへ」川村が描く逆襲の道

「正直(B組スタートの)覚悟はしていました。去年はほとんど野球ができていなかったので。リハビリ明けも手首の状態を見ながらの出場で、秋季練習もメディカル組として別メニューだったので……。やっぱり1年で立場も変わったなと思います」

 支配下登録を勝ち取った2024年には1軍で88試合に出場し、打率.268と存在感を示した。しかし、プロの世界は立ち止まることを許さない。「イヒネ(・イツア)が外野に挑戦するという記事も読みましたし、どんどん若い選手が突き上げてくる。僕も負けていられないです」。前を向きながら、胸の内に闘志を秘める。

 心の支えになっているのは、多くのファンの存在だった。「去年リハビリにいても、筑後まで来てくれるファンの方がたくさんいました。1年間、1軍でほとんど試合に出ていないのに応援してくれている。ファンがいるうちに頑張らないといけないなと思います」。このキャンプでも多くの差し入れや励ましを受け取り、その期待を力に変えている。

川村友斗に声をかける小久保裕紀監督(左)【写真:栗木一考】
川村友斗に声をかける小久保裕紀監督(左)【写真:栗木一考】

1年目からの恩師・小久保監督の存在

 打撃練習では柵越えの当たりを連発し、周囲を驚かせた。自身も「えぐいっす」と笑顔を見せる。「バットを力任せに振るのではなく、しっかりボールを打つイメージ。良い意味で手打ちという感じにしたんです」。昨季の開幕直後に2軍で打率0割台と不振に陥った際、もがく中で掴みかけた感覚だという。

「良い形になってきた時に怪我をしちゃって、自分のやりたいことが中々できなかった。でもオフシーズンで完全に治して、ようやく今良い感じでやれているので。まだ精度を上げないとダメですけど、これを今年のバッティングの軸としてブレずにやっていきたいです」

 4日にB組の練習を訪れた小久保裕紀監督とは言葉を交わした。入団1年目の育成選手時代から2軍監督としてイロハを叩き込まれてきた存在だ。「右も左も分からなかった僕に、プロ野球選手としてのあり方を教えてくれた人です。ファンの大切さもそうですし。プロに入ってから、ずっと小久保監督のもとでやってきました」。1軍で活躍をして、恩返しをしたい気持ちは強い。

「B組でも、自分の今やるべきことをやりたいなと思っています。(野村)勇さんも去年、B組からオールスターに出たりしていますし。逆にやりたいことをやって、いい時間にしたいなと思います」。その瞳は、再び1軍の舞台で輝く未来を見据えていた。

(森大樹 / Daiki Mori)