柳田&近藤と「年齢差はあるけど」 あえて“無礼講”…周東佑京に浮かぶリーダーの自覚

中堅の守備位置につく周東佑京【写真:冨田成美】
中堅の守備位置につく周東佑京【写真:冨田成美】

S組の“解禁初日”にさっそく実現した「2025年版外野陣」

 S組メンバーの“解禁初日”に「2025年版外野陣」が早速実現した。左翼・柳田悠岐外野手、中堅・周東佑京内野手、右翼・近藤健介外野手が揃ってスタメンに名を連ねた4日のヤクルト戦(みずほPayPayドーム)。両翼のコンバートを行ったホークスにとって、今シーズンの試金石とも言えるゲームになった。

 今春キャンプをS組で調整してきた主力野手にとって、今季初の実戦となった4日の試合。周東が4回の守りからベンチに退いたこともあり、3人が外野を守ったのは序盤3イニングのみ。それでも収穫は大いにあった。目に留まったのは、周東のリーダーシップ。打者ごとに柳田と近藤の守備位置を身ぶり手ぶりで“指示”する姿だった。

「お互いの確認ですね。どの辺りを守るのかとか、このくらいの距離感を保つとか。センターが一番、グラウンドのことが見えるので。ギーさん、近さんと年齢の差はあるけど、別に『指示を出しちゃえばいいか』って感じでしたね」

 先輩への“無礼講”こそ、周東がチームの中心としての自覚を抱いていることの証だ。歴代のゴールデン・グラブ受賞者が揃うホークスの外野をまとめることが勝利への近道となる。だからこそ、臆することなく先輩にも意見をぶつけられる。周東の指示を仰いだ柳田も「レフトはまだ分からないので、声をかけてもらえて頼もしかったです」と真顔で感謝を口にしていた。

「僕も(相手走者が)得点圏に行ったときには(外野守備の)指示を出しますけどね。彼の感性も大事にしないといけないですから。センターは外野陣を引っ張っていかなきゃいけないですからね」

 そう口にしたのは、今季からホークスに加入した大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチだ。昨季まで中日、巨人でコーチを歴任してきた外野守備のスペシャリストはこう断言する。「すごい選手だと思いますよ。間違いなくセ・リーグでもゴールデン・グラブを取れる選手ですね。球界で屈指の守備力を持っていると思います」。

 今年から初めて間近で見る周東の守備に早くも太鼓判を押した上で、さらなる期待を口にした。「外野陣のリーダーになってもらわなきゃ困りますよね。今年の経験は、彼の成長にもつながると思いますよ」。昨季は自身初めて規定打席に到達し、不動のレギュラーとしての立ち位置を築いた29歳に求める基準は当然、高くなる。

 周東にもその期待に応えるだけの覚悟がある。「去年もギーさんが怪我をしてライトはいろんな若い選手が出ていたし、レフトも近さんが抜けた時もありましたし。そこはある程度経験もあるので、うまくやっていければなと思います」。選手会長としてチームをけん引するだけでなく、グラウンド上でも“真のリーダー”となるための1年が始まる。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)