球界随一のバットコントロールで安打を積み重ねてきた31歳。2023年シーズンは本塁打、打点のタイトルを獲得。昨季は首位打者、最高出塁率に輝き、シーズンMVPにも選出された。「数字の部分は自分でどうすることもできないので。自分のやるべきことをやるだけ」。常にそう口にしてきた近藤が、はっきりと語った目標がある。
「何歳までやりたいかっていうよりも、2000本打ちたいなっていうのは思いますね。まだまだ全然、意識はないですけど。強く(思う)というよりも『やってみたいな』っていうくらいですかね。怪我がなくやれれば、っていう意味も込めての目標です」
近藤が挙げたのは“超一流打者”の証だった。NPBにおける2000安打達成者は、長い球史の中で55人のみ。昨季までのプロ13年間で積み重ねてきた安打は通算1302本。シーズン150安打のペースを続けていけば、ホークスとの契約最終年となる2029年中には達成できる計算だ。
「契約している間にこれだけは達成したいですよね。怪我なく、スタメンで出ていないと150本は打てないので。ある程度、成績が伴っていないと試合にも出られないので。そういう意味でも2000本かなと思いますね」
日本ハムでプロ1年目を迎えた2012年。目の当たりにした「プロの頂」こそが、近藤にとっての“原風景”だ。「稲葉(篤紀)さんがちょうど(2000安打を)打ったので。当時は『すげーな』と思いながら見てました。今になってそのすごみはより感じられるようになりましたね」。
横浜高からドラフト4位で入団した当初は「2000本なんて夢にも思わなかったですよ。でも、やっぱり4年目に規定に立って3割を打って(打率.326)、ある程度『こうすればできていくんじゃないか』っていう感覚は芽生えましたけど。それまでは全くでした」。今や“球界最強打者”と呼ばれる男も「いつクビになってもおかしくないと思っていました」と、厳しい世界を生き抜いてきた。
思い描く“夢”に向け、まずは2025年シーズンを懸命に戦っていく。「今年に関しては楽しみが大きいですね。毎年、色んなことを試しながらやっているので。どういう成績になるんだろうっていう期待もありながらって感じです」。天才打者は歩みを止めることなく、頂へと進んでいく。