S組導入で埋まった“枠”…「今年も厳しい戦いになる」
家族の期待を背負ってシーズンに挑む。柳町達外野手は6年目を迎える今季を前に、充実のオフを過ごしてきた。誰にも見られることなく行ってきた自主トレ。「今のうちにしっかり筋量を上げて、蓄えておこうかなと」。引き締めた表情からは熱い思いが伝わってくる。
まもなく訪れる球春。球団はキャンプ途中からの本隊合流を認める「S組」を新たに導入した。柳田悠岐外野手、近藤健介外野手、周東佑京内野手は、15日まで独自調整。昨シーズン、外野を埋めた3人はそれぞれの調整で開幕を目指していくことになる。指名打者があるとはいえ、外野で試合に出ていくにはこの3人に挑んで、勝たなければならない。
「今年もなかなか厳しい戦いになると思う」。レギュラー争いに向けての覚悟を決める中で、“年末”に愛妻が笑顔でかけてくれた言葉が、柳町の背中を押す。「来年も連れてって」――。
「妻が、本当にハワイ旅行が楽しかったみたいで『また連れてけ』って言われました」
昨年12月に企画された優勝旅行は、両親も含め、家族と一緒に満喫した。シーズン中にはなかなか作ることができない、貴重なリフレッシュの時間。ハワイにいる間に結婚記念日も迎え、妻と2人でクルージングを楽しんだ。最高の空間を味わった妻からの言葉に、笑みを浮かべつつも、身が引き締まる思いが増す。もう1度、家族と一緒に――。そんな思いが、自分を突き動かすモチベーションにもなっている。
昨秋に行われたドラフト会議、ホークスは支配下で6人を指名した。内訳は投手と内野手で3人ずつ。補強する必要がないほど、外野陣の戦力が充実していることがわかる。それは、昨季同様に今季のレギュラー争いも激しいものになることを意味している。
2024年の柳町は、開幕を2軍で迎えるなど悔しい思いを乗り越えてきた。「どんなことが起きてもやることをやっていくしかないです。そうすれば、自ずといい結果になると思うので。そこをブレずにやっていきたいなと思います」。覚悟を持って臨むシーズンに向け、口を真一文字に結んだ。昨季の経験があるからこそ、地に足をつけながら、自身が取り組むべき練習に励んでいくことができる。
「来年もハワイに連れてって」。妻のリクエストに対し「めちゃくちゃプレッシャーかけるじゃん」と返したが、その思いはがっちりと受け取った。家族の絆を深めたハワイに、今年も行けるように――。強い覚悟を持って、6年目のシーズンに向かう。
(飯田航平 / Kohei Iida)