「145キロの直球は尾形崇斗じゃない」 右肩痛に注射治療も…覚悟した「現役の終わり」

  • 記者:長濱幸治
    2024.10.30
  • 1軍
ソフトバンク・尾形崇斗【写真:矢口亨】
ソフトバンク・尾形崇斗【写真:矢口亨】

今春キャンプのオーバーワークがたたり離脱…笑顔が消えた半年前

 どんな困難が立ちはだかっても前を向いてきた男が、この時だけは弱気になった。「これまで通りの球は、もう投げられなくなるんじゃないか」。今シーズンの最終盤には勝ちパターンの一角として起用されるなど、大きな飛躍を遂げた尾形崇斗投手。わずか半年ほど前には、現役生活の終わりを考えるほどにまで悩んでいた。

 150キロ後半を計測するストレートこそ尾形の武器だ。回転数も2500近い数字を叩き出し、ホップ成分もチーム内で屈指と、質の高さも特徴だ。入団当時は150キロにさえ届かなかった真っすぐ。「プロ入りから10キロくらい球速が上がった。これまでやってきたことは間違っていなかったんだなと思います」。日々、ストイックに野球と向き合った証だ。

 プロ3年目の2020年、開幕前に支配下登録を勝ち取った右腕だったが、これまでの歩みは順風満帆とはいかなかった。2021年の春季キャンプ中に行われた紅白戦では、3安打1四球、2暴投に2つのけん制悪送球という乱調ぶりで、当時の工藤公康監督は異例の試合打ち切りという決断を下した。それでも「一からやり直すだけです」と、尾形の瞳から光が失われることはなかった。そんな男から笑みが消えたのは、今年の春先だった。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)