「野球できんくてもいいから、命だけは…」 病気公表の田上奏大が明かした苦難の日々

  • 記者:上杉あずさ
    2024.10.10
  • 1軍
ソフトバンク・田上奏大【写真:冨田成美】
ソフトバンク・田上奏大【写真:冨田成美】

「あまり誰とも話したくなかった」…永遠にも思えた光の見えない日々

「もう野球できんくてもいいから、命だけは……」。感じたことのない恐怖が全身に押し寄せてきた。光の見えない日々を過ごしてきたからこそ、慣れ親しんだはずのマウンドが特別なものに感じられた。ようやく戻ってきた“日常”。自然とこみ上げてきた涙を止めることはできなかった。

 今春に「ランゲルハンス細胞組織球症」と診断され、長いリハビリ生活を送ってきた田上奏大投手が9日、韓国チームとの3軍戦で今季初登板を果たした。久しぶりのマウンド。上位打線をわずか5球で3者凡退に打ち取ると、安堵の笑みを浮かべてチームメートとグータッチをかわした。ベンチに座ると、大粒の涙が零れ落ちてきた。

 復活への一歩を刻むまでの道のりは長かった。田上は春先から病に苦しめられてきた。病名は「ランゲルハンス細胞組織球症」。非常に稀な免疫系の疾患で、背骨が溶ける症状が出ていた。球団の三森哲司ディレクター補佐兼メディカルコーディネータ代行は、田上の様子をこう明かしていた。「診断が出るまでは、腫瘍とも言われたりした。最初は生死に関わるかもしれないと、本人の中でショックがあった」。当時の心境を、右腕はありのまま明かした。

ソフトバンク・田上奏大【写真:竹村岳】
ソフトバンク・田上奏大【写真:竹村岳】

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)