近藤健介の“代役”…「務まるわけがない」 周東佑京が正木智也に送ったエール

ソフトバンク・周東佑京(左)と正木智也【写真:矢口亨】
ソフトバンク・周東佑京(左)と正木智也【写真:矢口亨】

20日のオリックス戦で決勝打の選手会長「毎日ワクワクしながらやってます」

 これが選手会長の示した“答え”だった。20日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)。2回2死二塁で周東佑京内野手が先制の適時二塁打を放った。この一打は結果的に決勝点となり、連敗を止めたホークスは優勝マジックを「4」に減らした。「優勝が近づいてきて、毎日ワクワクしながらやっています」。圧倒的なスピードだけでなく、強靭なメンタルも大きな武器だ。

“近藤ロス”も周東には関係なかった。「いてくれるかいないかで言えば、いてくれる方がそれは助かりますけど。でもいないので。いるメンバーでやるしかないですよね」。力強く口にした後、続けたのは悩める後輩に向けた「辛口エール」だった。

「近さんの代わりなんて務まるわけないんだから、そもそもが。何を考えているんだって話ですよ。正木には言ってないですけどね」

 開幕から「不動の5番」として打線をけん引してきた近藤健介外野手が、16日のオリックス戦(京セラドーム)で二盗を試みた際に右足首を負傷。捻挫と診断され、17日に出場選手登録を抹消された。同日に“代役”として5番を任されたのが正木智也外野手だったが、3打数ノーヒット。近藤の戦線離脱以降、9打数1安打とバットは湿りがちだ。

ソフトバンク・周東佑京【写真:栗木一考】
ソフトバンク・周東佑京【写真:栗木一考】

「誰かの代わりなんて無理なんだからって思いますよ、僕は。どんどん頑張るだけだって」。あくまで自分は自分。言葉にして伝えなくても、周東の背中は正木に「大事なこと」を伝えていた。

 チームは17、18日の日本ハム2連戦に連敗し、優勝マジックを減らすことができなかった。それでも周東は動じなかった。「まあまあ……。相手ピッチャーもいいし。相手も強いし。そんな簡単には勝てないよということじゃないですか」。2023年のWBCでは侍ジャパンの一員として日本一に貢献。果敢な走塁で世界を驚かせた男は、優勝争いのプレッシャーも「ワクワクしながらやっています」と楽しんでいる。

「ギーさん(柳田悠岐外野手)も近さんもいない中での戦いというのが大事かなと。自分たちの力がどれだけなのかというのも分かるので。個人個人ができることは、やっぱり限られていますし。それ以上のことをやろうとしてもうまくいかないじゃないですか。だからやれることをしっかりやるしかないんじゃないですか」

 チームの大黒柱が不在の中で、どれだけやれるのか。ホークスの未来を担う選手会長は、将来の主軸として正木に期待をかけるからこそ、「何を考えているんだって話ですよ」と率直な思いを明かした。

「泣いても笑っても残り11試合。自分たちの力を出し切るだけだと思います。勝てばいいだけなので。監督も言っていましたけど、あと4つ勝てば終わるので」。今季はプロ7年目にして初めて規定打席をクリアするなど、主力として戦ってきた周東。苦境すら楽しむメンタルで、チームを最後まで引っ張っていく。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)