今季最長4連敗…ちぐはぐの状況も「絶対にあること」 甲斐拓也が説いた苦境での心得

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・甲斐拓也【写真:荒川祐史】

痛恨の逆転負けも投手陣をねぎらう「頑張ってくれたからこそ今の位置がある」

 頂点にたどり着くためには険しき道が必ずある。ホークスの正捕手として幾度となくチームを勝利に導き、世界の舞台でも頂点の景色を見てきた。輝かしい栄光をつかみ取るには、苦しみを乗り越えなければならない。そのことを十二分に理解しているからこそ、甲斐拓也捕手は揺るがなかった。

 7日の西武戦(みずほPayPayドーム)。1点リードで迎えた8回に杉山一樹投手が同点打を浴びると、9回にはダーウィンゾン・ヘルナンデス投手が外崎に勝ち越し弾を許した。連敗脱出への出口が見えかけた中で、痛恨の逆転負け。今季最長の4連敗で、2位日本ハムとは7ゲーム差。数字上こそ圧倒的優位は変わらないが、わずかに不穏な空気が漂いつつあることも事実だ。

 「きょうも(試合の)最後にああいう形で点を取られてしまったとかはあるかもしれないですけど。120試合以上(122試合)を戦ってきた中で、ピッチャーが頑張って抑えてくれたからこそ今の位置があるので」。試合後そう口にした甲斐は、苦境を乗り越える“心得”を明かした。

「残り20試合近くになってきて何かを変えるとか、そういうことではないと思いますし。小久保さんも言っていたように、とにかく隙を見せずに。もう一度ね、野球の神様が来てくれるように。しっかりやっていくというのが大事だと思うので。そこは変わらないんじゃないですか」

 シーズンも終盤に入り、投手陣の疲労もピークに達している。ロベルト・オスナ投手に変わって抑えを務めていた松本裕樹投手を始め、勝ちパターンの一角として奮闘していた藤井皓哉投手や津森宥紀投手らが相次いで離脱。まさに今が踏ん張り時だ。

「いろいろとかみ合っていない部分が実際にゲームでも表れているところなので。それは点を取られたとか、取れなかっただけじゃなくて、いろんなところにちぐはぐしたものが出てきている。でも、そういう時期はシーズンを通して絶対にあることなので」。甲斐が強調するのは、あくまで想定内の事態だということだ。

 ゴールテープを切るためのラストスパートに向け、今は選手全員が歯を食いしばって1勝をつかみ取るしかない。「ここまで戦ってきて、残り20試合ちょっと。最後はチーム全体で戦っていくだけなので」。正捕手は全員野球の重要性を強調した。

 苦しみの先に、大きな喜びが待っていることを誰よりも経験している。「扇の要」として投手陣を懸命に引っ張り、チームを最高の景色に連れていく。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)