20日に行われた1軍のライブBPで松本晴から本塁打
いよいよDeNAとの日本シリーズが開幕する。頂上決戦を目前に控えチームの緊張感が高まる中、開幕まで残り4日と迫った20日の全体練習で、1軍首脳陣に鮮烈なインパクトを残した育成選手がいた。19歳の池田栞太捕手だ。上茶谷大河投手や津森宥紀投手ら、5人のピッチャーがライブBPを行う兼ね合いで、3軍から4人の育成選手が全体練習に参加していた。
ライブBPの“第1打席”、相対したのはレギュラーシーズンで12勝を挙げた松本晴投手。追い込まれてからも粘りを見せ、最後はチェンジアップを左翼テラスに運んだ。全力疾走でダイヤモンドを一周すると「よっしゃ!」。ホームインした直後、喜びの声がグラウンドに響き渡っていた。
新潟・関根学園高から育成1位でホークス入り。高校通算15本塁打と、長打力も魅力の1つだ。高卒1年目の今季、2軍戦での出場はわずかに2試合。ファーム非公式戦では60試合出場と、主に3軍で経験を積んできたルーキーイヤーだった。
まさに“飛び級”で舞い込んできたチャンス。1軍の首脳陣に会心の一撃を見せつけ、猛アピールに成功した。本塁打の余韻も残る中、すぐさまマスクを被った池田に、小久保監督は力強い口調で声をかけた。
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この先で分かる3つのこと
松本晴から本塁打…小久保監督が抱いた率直な評価とは
声出しに注文…小久保監督が語る捕手の重要な役割
アピール成功も…池田栞太が受け止めた自身の課題とは
小久保裕紀監督がかけた言葉の“真意”
「キャッチャー、元気を出して引っ張ってこいよ!」
その後も、遊撃を守りながら指揮官は何度も池田に声をかけていた。カーター・スチュワート・ジュニア投手が投じたワンバウンドの変化球を止めれば「キャッチャー、ええやないか!」。絶好のチャンスで残してみせた爪痕。「池田栞太」の名が首脳陣の脳裏に刻み込まれたのは明らかだった。
1軍の指揮官が担う役割は当然、チームの勝利。2軍の情報が耳に届くことはあっても、3軍選手のプレーを目の前で見ることはほとんどない。ライブBPの後、小久保監督は池田に抱いた率直な印象を口にした。
「レフトに、すごかったね。ただ“言葉のキャッチボール”ができないといけない。下でやっている時と上でやる時とでは、明らかに声の掛け方とかが違うので。野球がうまいという前に、捕手として引っ張っていかないと。まだ1年目だからわからないけど、それを教えるのもコーチの仕事なので」
最初にかけた「元気を出して引っ張ってこいよ!」という言葉は、指揮官の本心だった。「だけど、できていなかったでしょ。そういうところも勉強しながらですよ」。大きな声を出すこともまたホークスの伝統。ライブBPでは、守備に就いて練習をサポートする裏方も多かったが、もっとも声を出して打球を呼んでいたのが小久保監督と本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチ、そして川瀬晃内野手だった。
絶好のアピールも…真っすぐに受け止めた指揮官の評価
全体練習が行われる2日前、コーディネーターの「1軍に行ってこい」という言葉で今回の参加を知った。バットを握り、マスクを被ってアピールできる。貴重なチャンスをどのように受け止めて、本拠地を訪れていたのか。
「できることしかできないと思っていました。それでミスをしてしまったら、また練習すればいいので。バッティングなら打てたところは自信になるし、打てなかったところは課題になってくる。やっていること自体は間違いじゃなかったと思えたので、これからも継続してやっていきたいです」
今季、ファーム非公式戦では4本塁打を放った19歳。本拠地で見事なアーチを描いたものの、小久保監督の言葉も真っすぐに受け止める。「まだまだ足りていないと思いますし、アピールする立場なので、元気も出さないといけない。自分のできることをやって、どんどん見てもらえたらなと思います」。若者らしく、勢いのまま突っ走ればいい――。指揮官のメッセージを胸に、ここからさらにレベルアップしていくつもりだ。
ライブBPが終わり、選手やスタッフがベンチ裏へと引き上げた後。グラウンドには1人、中田賢一投手コーチ(ブルペン補佐)が残っていた。その背中を追いかけた池田は、深々と挨拶をしてから自らの片付けに入っていた。「まずは2軍で試合に出ることが大事だと思うので。そこを目標にしてやっていきたいです」。練習日ということもあり、池田のアーチを目に焼き付けたファンは1人もいなかった。いつかは、満員の本拠地で――。19歳は泥臭く、これからも鍛錬を積み重ねていく。
(竹村岳 / Gaku Takemura)