首脳陣が押した太鼓判「心配していない」
日本一へと続く戦いが始まる直前、右腕が繰り出す球には確かな手応えがあった。伊藤優輔投手は12日、「みやざきフェニックス・リーグ」の広島戦に登板。8回1死から回をまたぎ、1回2/3を2奪三振、無失点に抑える好投を見せた。1軍のポストシーズンを見据えた起用の中で、持ち味の直球が低めに力強く決まっていた。
「今日は真っすぐがしっかり叩けていましたし、低めにイメージした通りの球が多くあった。宮崎でしっかり投げられたのはプラスになったかなと思います」
14日から始まる日本ハムとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ。チームが9月17日にリーグ優勝を決めた後も、伊藤にとっては決して気の抜ける時間ではなかった。日本一を目指す舞台に立つため、登板のたびに結果を求められてきた右腕。宮崎での最後の実戦調整を終え、本人が語った言葉からは、並々ならぬ思いが伝わってきた――。
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この先で分かる3つのこと
1軍首脳陣が求めた変則登板と、小笠原コーチの評価とは
CSへ向けて宮崎で試行錯誤した「新たな変化球」の正体
リーグ優勝後も「当落線上」と危機感を持ち続けた本音とは
この日の登板は、あらかじめ予定されていた通りの流れだった。伊藤は試合中、ブルペンで小笠原孝2軍投手コーチから「1人終わったら行くぞ」と伝えられていた。前の投手が打者1人を終えた段階でマウンドへ向かうというものだ。小笠原コーチによれば、この起用は1軍首脳陣からの要望だったという。
8回1死からマウンドに上がると、9回も続投。1安打を許したものの、ストライク先行で有利にカウントを整え、低めに力のある速球を丁寧に投げ込んだ。短期決戦を想定した起用の中でしっかりと結果を残し、投球内容については小笠原コーチも高く評価した。
「状態は良いです。真っすぐも低めに強かったし、見た目にも速かった。本人も真っすぐの感覚がいいということなので、そこは心配していないです。もう万全なので、それが一番いい材料ですね」と、小笠原コーチは伊藤の状態に太鼓判を押した。
油断できなかったリーグ優勝後
調整の場所が宮崎だったことも、伊藤にとってはプラスに働いた。「意外とドームの中だと閉鎖された空間というか。外でやった方が、いつもよりも体が動く感じもありました」。この日は気温も高く、体の動きやすさを実感できたという。新たな変化球の使い方も試しながら調整を進めており、目前のCSへ向けた準備と、先を見据えた試行錯誤の双方が実を結ぶ時間となった。
伊藤はリーグ優勝が決まった後も、自身の立場を「オーディションじゃないですけど、“当落線上”の位置だと思っていた」と振り返る。優勝が決まっても油断は一切なかった。登板機会の一つひとつが、短期決戦を戦うメンバーにふさわしいかを示すアピールの場。「自分の中では、優勝が決まる前と同じように、シーズン中と変わらない気持ちで投げられました」と、ブレない姿勢で結果を求め続けてきた。
「まずはクライマックスシリーズのメンバーに入りはしたので、そこから投げる場面があれば、シーズン通りしっかり抑えて、日本シリーズに向けてまたやっていきたいなと思います」。自らの力で掴み取った大舞台への切符。汗だくになるほどの陽気の中、腕を力強く振り抜いた右腕の表情には、確かな自信がみなぎっていた。
(飯田航平 / Kohei Iida)