小久保監督「足首の状態がどうなのか」
もう1度戦いの最前線に戻るため、静かに自分自身と向き合っている。秋の太陽が照らすタマスタ筑後。リハビリ組のメニューを消化していたのは、川村友斗外野手だ。自らの口で明かした現状。そしてペナントレース中は、重圧を乗り越えようと日々必死に準備してきた。「俺なら捕れたな」。笑顔で振り返ったのは、周東佑京外野手からの一言だった。
5年目の今季は自己最多の103試合に出場。主に代走と守備固めを任され、開幕から1軍に名を連ねてきた。登録抹消となったのは9月28日。小久保裕紀監督はクライマックス・シリーズに向けた選手の“選別”について「川村の足首の状態がどうなのか。間に合わなければまた考えますけど、基本的にはそこがボーダーです」と具体的に明かしていた。短期決戦は「野手17人」で戦うことになりそうだ。
指揮官の口から明かされた「足首」のコンディション。その裏側には、シーズン終盤まで痛みを抱えながら戦い続けた男の葛藤と、小久保監督から託された「信頼と決断」があった。抹消を告げられた瞬間のやり取り、そして短期決戦での復帰へ向けて川村が明かした本音とは――。
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この先で分かる3つのこと
抹消時に小久保監督が川村友斗へかけた信頼の言葉とは
「俺なら捕れたな」周東佑京の凄みと川村が抱く守備の重圧
大西コーチも絶賛する代走・守備固めとしての高い貢献度
「CSで万全にいけるように」指揮官から託された信頼
なってしまいました。(中村)晃さんの引退試合があった時、練習中に監督から『抹消するから。CSで万全にいけるようにしてくれ』と言われました」
本拠地で行われた9月26日、27日と試合前の打撃練習から外れていた背番号61。負傷箇所は右足首で、小久保監督はすぐさま短期決戦に向けて時間を与えるという決断を下していた。「『治してこい』というニュアンスで言われたので、そこはしっかり責任を持って、できることはしっかりやっていきたいなとは思います」。すでにスライディング動作もクリアするなど、一歩ずつ復帰へと進んでいるところだ。
開幕から1軍入りを果たし、“完走”が見え始めていたところで登録抹消となった。「もちろん最後までいきたかったです」と悔しさを隠さないが、チームのパ・リーグ3連覇に貢献したのも事実。レギュラーシーズンを振り返ると、胸の内にあった目標設定を明かした。
「宮崎のキャンプはB組からスタートしたので、自分の状態をあげることに集中していました。ギリギリで開幕に呼んでもらって、正直最初はふわふわしていましたね。ここまでバッティングが全然ダメで、途中から『(このままだと)暗くなってしまう』と思って。『100試合を目指そう』と自分の中で目標を切り替えながらやっていました」
「周東の重圧」が生んだ好捕と、大西コーチの言葉
27歳の脳裏に焼き付いているワンプレーは、本拠地で行われた9月11日のロッテ戦。試合途中から中堅の守備に就くと、8回無死で山口の鋭い打球が飛んできた。これをフェンスにぶつかりながらも好捕。安堵の表情を浮かべていたが、そこには「ホークスのセンター」ならではの重圧が存在していた。
「佑京さんがえぐいプレーばかりしていたじゃないですか。点差は離れていましたけど、僕が代わりに出て、あそこで落としていたら『周東だったらな』と思われる。絶対にその比較になると思うので。センターを守る時は緊張じゃないですけど、そういうのはありますね。だからあれを捕れてよかったです」
12球団屈指の名手である背番号23。“周東の重圧”をわずか4日後に実感することとなる。
同15日のオリックス戦(京セラドーム)でスタメン出場した川村は、7回2死三塁で左中間に飛んだ飛球を惜しくも掴めず。適時三塁打としてしまい、先輩の偉大さも改めて感じ取った。「ベンチに戻ると、『俺なら捕れたぞ』って言われて、『佑京さんなら捕れましたね』と。そういう会話はしましたね」。外野守備から、投手を助ける。そのために日々、隙のない準備でゲームに備えてきた。
背番号61の存在感について、大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチも大きな信頼を寄せる。
「今年は1年間、勝ちゲームの守備でいってくれた。ここまでずっと1軍におったわけやから。そこで得た信頼を残りの試合で発揮してほしいし、まずは何よりも『しっかり治せよ』と。2月に1度、A組に合流した時も『守れるやん、ええボール投げているやん』というのがあった。2軍スタートだったとしても、牙を研いでいれば一瞬の隙から、ずっと1軍におるわけやんか。『見てくれている人がいるから頑張れる』と、選手がなるように。俺たちも発信していかないといけないよね」
10月10日の3軍戦での実戦復帰を目指し、調整を送っている。川村も「まずは試合の感じを取り戻して、自分のコンディションを上げていけたら」と力を込めた。一発勝負の短期決戦、背番号61の力が必ず必要になる。
(竹村岳 / Gaku Takemura)