庄子が口にした「1試合も無駄にできない」
1人で1点をもぎ取る、そんなプレーだった。5日に楽天モバイル最強パークで行われた楽天とのシーズン最終戦。順位も決した中で迎えた一戦で、首脳陣が絶賛したのは、庄子雄大内野手の姿だった。貪欲なワンプレーに見えた“価値”とはーー。
1点を追う5回先頭、右前打を放った庄子は初球からスタートを切って今季22個目の盗塁を決めた。その直後だった。正木智也外野手がワンバウンドした変化球に手を出して空振り三振に倒れると、捕手が一塁へ送球した間に三塁を陥れた。1死三塁となり、周東佑京外野手の二ゴロで生還。まさに庄子1人で奪った1点だった。
9月17日にパ・リーグ3連覇を決めたホークス。すでにCSファイナルステージでのアドバンテージ「2勝」も確定している。全てが決した最終戦でも、庄子は貪欲に次の塁を狙い続けた――。この隙のない走塁に首脳陣が見た“チーム内での好影響”。そして庄子が胸に秘める覚悟と、好プレーが生まれた舞台裏に迫った。
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この先で分かる3つのこと
好走塁の裏側!庄子が明かす相手捕手との「駆け引き」とは
本多コーチが明かす、周東の存在が与えた「好影響」の正体
庄子が胸に秘める覚悟と、来季へ向けた「明確な目標」とは
「振り逃げがあるのは分かっていたので。太田(光)さんも警戒してこっちを見ていましたけど、『これはいける』と思って行きました。なかなかチームとしてヒットが出ない展開でも1点をもぎ取るというのは、相手にとってもダメージが大きいと思うので」
三塁を陥れた好走塁を、庄子はそう振り返った。常に次の塁を狙う。その意識があるからこそ生まれたワンプレーだった。そして言葉を続ける中で口にしたのが、ポストシーズンに向けた強い覚悟だった。
「優勝が決まってからも、CSに向けてのアピールだと思ってやってきたので。僕は1試合も無駄にできないし、今日も変わらずできたかなと思います。ずっと変わらずに積極的な姿勢を貫いていきたいです」
優勝が決まった後も戦いは続いている。庄子にとっては、自らの存在価値を示すための大切な時間だった。24歳が見せる積極性を首脳陣も高く評価している。本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチは、庄子の姿にチーム内での好影響を感じ取っていた。
「やっぱり周東の姿とかを見て、『自分も負けられない』とか、『自分もやらなきゃ』とか。そういう気持ちがあるから、『隙を突いたらいったろう』みたいなプレーが生まれたと思う。そういう意識は野球にとっては大事なことなので。貪欲に狙ってほしいなと思います」
本多コーチも認める「失敗を成功に」変える力
2年目の2026年シーズンは108試合に出場した。5月上旬に先発出場の機会をつかむと、訪れたチャンスを逃さなかった。本多コーチも「失敗があった中で、課題を克服し続けた1年だったんじゃないですかね。着実に失敗を成功に変えた。完璧ではないんですけど、常に変化がある選手」と振り返る。
常に先の塁を狙う姿勢がしっかりと浸透している24歳。今季22個目となる盗塁も決めた。「初球からいこうと思って。ランナーが一塁にいる時のピッチャーの姿をずっと観察していたので。思い切ってスタートを切りました」。この日、4年連続となる30個目の盗塁を決めた先輩・周東に次いで、リーグ2位の数字も庄子の成長を物語る。
「今年は22個走れたので、来年はそれ以上。まずは30個を目標にやっていきたいなと思います。でも、走るためにはやっぱり試合に出続けないといけないので」。グラウンドに立ち続ける難しさも痛感した2026年シーズン。今季最終戦でもその貪欲さを忘れることはなかった。「全てにおいてレベルアップしていけたらなと思います」。1つ1つの積み重ねが、首脳陣から「使いたくなる選手」と評価される理由になっている。庄子はまた一つたくましくなった。
(森大樹 / Daiki Mori)