8月27日に抹消、2軍調整を続ける石塚
2年連続で画面越しに見届けた歓喜の瞬間――。「自分の実力が足りなかったという思いしかないです」。チームがリーグ3連覇を達成した裏で、こう漏らしたのは石塚綜一郎捕手だ。開幕から快音を響かせながらも1軍に呼ばれない日々、初昇格を果たして掴みかけた手応え、顔面死球による骨折での離脱……。冷静に自らの現在地を見つめながら、本音を明かした。
7年目の今季は6月19日に1軍初昇格。3試合で13打数4安打と結果を残していたが、同23日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)でマチャドの直球が顔面に直撃。左側下顎骨骨折に伴う観血的整復プレート固定術を受けた。7月18日の3軍戦で約1か月ぶりに実戦復帰すると、8月11日に待望の再昇格。しかし、同27日に登録を抹消され、終盤戦でチームの力になることはできなかった。
骨折離脱から復帰を果たした後、再び1軍にも呼ばれたが、結果を残すことはできなかった。掴みかけた感覚を結果で示しきれないまま、シーズンの最終盤を迎えていた。歓喜のビールかけへの誘いに、即答した返事とは――。アクシデントを「絶対に言い訳にはしたくない」という思いが込められていた。
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この先で分かる3つのこと
2年連続でビールかけへの参加を「即答で断った」胸中とは
顔面骨折の直後、深夜1時の球場でコーチに訴えた「覚悟」
2軍監督が「わかっている選手」と評する練習への向き合い方
「今までで今年が一番、なにも貢献できていないので。マネジャーから電話がかかってきて『ビールかけの話があるんだけど、どうする?』と聞かれたんですけど、即答で断っちゃいました。『1軍に貢献したか?』と言われたら、していない。それだったら今の自分の成長に目を向けたいなと思って」
悔しさをかみ締めた表情で「正直、行ったところで気まずいなって……」と言葉をこぼした。実はビールかけを断ったのは2年連続のことだった。昨季は24試合に出場したが、リーグ優勝のわずか3日前に出場選手登録を抹消されていた。「あの時は結構メンタルにきました。『2軍の優勝に貢献してきてくれ』と言われて、その時は2軍の優勝も逃してしまった。今年に関しては本当に何もできていないので」。
顔面死球を受けて病院へ…周囲を驚かせた「不死鳥や」
今季初昇格をした直後、6月21日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では3安打猛打賞の活躍を見せた。「2軍でやろうとしていたことが1軍でもでき始めて、今までにない感覚はありました」。これまでにない手応えを感じていた。このチャンスを逃したくない――。アクシデントに見舞われたのはその2日後だった。顔面をボールが直撃。病院へと運ばれる救急車の中で必死に翌日の出場を直訴していた。
「ドーム内での初診では骨折じゃなかったので。救急車の中でも『明日も出ます』とずっと言っていました。病院に着いて『骨折で手術です』と言われて、さすがに諦めましたけど……。でも、深夜1時くらいに一度球場に戻った時、倉野(信次)コーチとか何人かがいたんですけど、『自分、全然いけますよ』とずっと言っていたら、『不死鳥や』と言われました(笑)」
リハビリを経て、8月11日に1軍復帰を果たしたものの、自身の調子は落ちかけているタイミングだった。3試合に先発出場したが、9打数1安打。「あの離脱がなかったら……とか絶対に言い訳にはしたくないです。常にいつでも1軍に行ける準備ができていないといけない。自分の実力が足りなかったという思いしかないです。チャンスをもらっていたのに、その中で体現することができなかった。自分がやりたいことができなかった悔しさしかないです」。
昇格を待つ2軍での日々。必死に自分のやるべきことを続けてきた。「10ゲーム差が付くまで消化試合はないと監督も言っていましたし、少しでもアピールして、ポストシーズンや大事な試合で呼ばれるようにやっていきたいです」。斉藤和巳2軍監督も「石ちゃんはしっかりとやるべきことを続けているので、その辺はわかっている選手だから」と語る。結果が求められ続ける自分との闘い。険しい道のりではあるが、その先にチャンスは必ずあると信じて、今日もバットを振り続ける。
(森大樹 / Daiki Mori)