選手会長に就任した2026年、本塁打と打点の2部門でリーグトップ
ホークスは17日、3年連続のリーグ優勝を飾りました。鷹フルでは主力選手はもちろん、若手やスタッフにもスポットライトを当てながら、今シーズンを振り返っていきます。選手会長として、4番として、2026年のホークスをけん引した栗原陵矢内野手。特別な1年を送った背番号「24」にとって、忘れられない夜がありました。帰路に就いたのは、試合終了から2時間半以上が経過した午後11時半を過ぎーー。今シーズンを象徴する、ある夜の出来事に迫りました。
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現時点で本塁打と打点の2部門でリーグトップの成績を残すなど、ホークスの「4番」としてチームを何度も勝利に導いてきた背番号「24」。優勝が近づいてきた9月、栗原はこんな言葉を口にしていた。「いい姿を見せながら、最後に優勝できるように頑張っていきたいです」。守備のミスに、浮かない表情を見せることもあった。
7月11日の楽天戦(みずほPayPayドーム)での出来事だった。6点リードの3回1死一、二塁。三塁を守っていた栗原のもとに打球が飛んだ。併殺でチェンジかと思われた瞬間、栗原はゆっくりと三塁ベースを踏み、二塁走者を封殺。アウトカウントを間違えて、そのままベンチへ引き上げようとした。後続を打ち取って事なきを得たものの、試合後の小久保裕紀監督からは「隙だらけです。隙しかないでしょう」と厳しい言葉が飛んだ。
その日の試合終了は午後9時。選手やスタッフが1人、また1人と本拠地を後にしていく中、栗原は午後11時半を過ぎても球場にいた。2時間半以上の間、一体何をしていたのか。チームの中心を担う立場だからこそーー。「今までなかった」と振り返った行動には、あの日の悔しさが詰まっていた。
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「めっちゃ覚えています。ずっと打っていましたね。納得いかなかったので。自分に対して」
栗原は”あの夜”を振り返った。試合後、ひたすらトラジェクト・アークを打ち込んでいたという。当時、3試合ノーヒットで連続無安打は15打席まで伸びていた。打撃が下降線をたどる中で、トラジェクトを管理する先乗り兼運営サポートの渡邉雄大さんも「あれだけ長くやっていたのは、僕が見ている中では今年1番だったと思います」と振り返るほどだった。復調の糸口を探しながら、バットを振り続けた。
「1人で遅い球を打つ練習をしたかったので。渡邉さんにトラジェクトで遅い球を出してもらって、自分のフォームだったり構えの確認をずっとしていました。遅い時間まで付き合ってもらって、感謝しかないです」
攻守で結果が出ずに悔しい思いをした1日。そして試合後の指揮官からの厳しい言葉を、メディアを通して目にした。「そこから心臓がバクバクして、寝られなかったですね」。凡事徹底を掲げるホークスで、やってはいけないミスだったことは分かっていた。もっと成長しなければいけない。日が変わりそうな時間になっても、黙々とバットを振っていた。
7月11日の夜に「ここまで打った日はない」
そして迎えた翌日、7月12日の楽天戦。初回1死一、三塁で左前に先制打を放つと、3回には右中間スタンドに飛び込む25号2ランを放った。チームが奪った全3得点を、栗原1人で叩き出す活躍ぶり。前日の夜、最後まで球場に残っていた男が、翌日の試合で果たした汚名返上。渡邉さんも「打ったよ……みたいな感じでした」と、驚きと喜びが入り混じったような表情で振り返った。
「『こういう時だから、やり返してやるぞ』とかは別にないです。でも本当に毎日試合があるので。毎回ピッチャーも違えば、自分の感覚も違いますし。でも、その中で合わせていくのがプロだと思うので。毎日修正しながらって感じですね」
小久保監督も、栗原について幾度となくこう話してきた。「ミスはある。その後にどうするか。主力なので。やるしかないでしょう」。143試合という長いシーズン。グラウンドに立ち続ければ、何度も壁にぶつかる。そのたびに自分と向き合い、また次の試合に向かった。周りからは見えない努力を続けていたからこそ、乗り越えることができた。
選手会長として戦い抜いたシーズン。「ここまで打った日はないです」と語った7月11日の夜ーー。開幕前には「長いシーズン、いい時も悪い時もあると思うけど、前を向いて全員が前進しながら頑張っていきたい」と話していた。選手会長として前を向いて歩んだ1年。2026年の勝利の美酒は絶対に忘れられない瞬間になったはずだ。
(森大樹 / Daiki Mori)