5年契約1年目に「そういう目で見られている」
ホークスは17日、リーグ3連覇を成し遂げました。鷹フルでは主力選手はもちろん、若手や首脳陣、スタッフにもスポットライトを当てながら、2026年シーズンを振り返っていきます。代名詞となった俊足と、華麗な守備でチームを支えてきた周東佑京外野手。球団の福岡移転後初となる偉業を喜びつつも、目線はその先を見つめていました。「みんな興味がないんじゃないですか、走ることに」――。チームリーダーが口にしたのは、若手選手に対する“愛のある提言”でした。
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左膝裏痛の影響で、歓喜の瞬間をグラウンドで迎えることはできなかった。それでも、今季のチームを先頭に立ってけん引した事実は変わらない。「優勝はやっぱり嬉しいです。その気持ちはここ2年間と一緒ですね」。今季は2年ぶり、自身2度目の規定打席に到達し、打率.277をマーク。リーグトップを独走する28盗塁を記録するなど、変わらぬ存在感を示した。
昨オフ、5年総額20億円(金額は推定)の大型契約を結んだ30歳。常に痛みを抱えながらでも試合に出続けたのには、理由があった。「複数年契約の1年目が特に大事だなと。そういう目で見られている部分もあると思うので。シーズン中、その気持ちはずっと持っていましたね」。今や“ホークスの顔”となった。だからこそ、視野はチーム全体に広がっている。
今季、1軍で身も心も削る日々を送りながらも、時間を見つけては2軍戦をチェックしていた。そして“確信”した思い。それは「どう見ても、今のチームで走れるのは庄子(雄大)しかいない」――。育成入団から這い上がり、球界を代表するプレーヤーとなった周東。口にしたのは“苦言”ではなく、若鷹の未来を思った「提言」だった。
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この先で分かる3つのこと
控えの若鷹が1軍を掴むために周東が示した「提言」
育成時代に周東が「この2人を超えれば上へ行ける」と語った先輩
「世代交代」が囁かれるチームの現状に周東が抱く「率直な本音」
「下の選手を見ていて、庄子以外に走れるのが誰一人いないので。みんな走るのに興味がないんじゃないですか、って思っちゃうくらい。別に走れなかったら走れなかったでいいんですけど、『控えでも走れるようになれば1軍に入れるのにな』というのはめちゃくちゃ思いますけどね。みんな『打たなきゃいけない』と思っていますけど、(代走や守備要因で起用されている)他の選手より走れて守れたら1軍に上がれるわけなので。現状ほぼレギュラーが固まっている中で、どうやって1軍に入るかとなったら、絶対にそこだと僕は思うので。なんでそこにフォーカスしないのかなとは思います」
背番号121時代…「秀平さんと城所さんより走れれば」
言葉だけを見れば厳しく感じられるが、周東が強調したのは「どうすれば1軍でプレーできるか」という一つの“ものさし”だった。自身も背番号121を付けていた当時は、それだけを考えてきた。「僕の場合は2軍で試合に出て、1軍の試合を見ていて、『入るならここだな』と。(福田)秀平さんと城所(龍磨)さんより走れさえすれば、(首脳陣から)見てもらえるんじゃないかと思いましたし、そこで結果を出せば上で勝負できる。自分がどうやって支配下になるかと言ったら、見せるのはそこしかなかったので」。
ただ漫然とプレーしているだけでは、プロ野球の世界を生き抜くことはできない。周東自身が身をもって感じた厳しさを、若い選手にも一日でも早く分かってほしい。だからこそ、周東はエールを送る。
「1軍がナイターの時の治療中とか、2軍が試合をやったりしていたので。ちょくちょく見ながら、1軍の選手と『あいついいよね』とか話はしています。若い選手に『1軍に上がりたい』という気持ちがないとは思わないです。頑張ってないとは言わないし、全員が頑張っているとは思います。考えもそれぞれなので。だからこそ、1軍でプレーするにはということを考えてほしいなって」
今季は長年チームを引っ張ってきた中村晃内野手が現役引退を表明し、今宮健太内野手も出場機会を減らしている。世代交代の4文字がくっきりと浮かび上がってきた1年のように思えるが、周東はこれを否定する。「大きく変わってはいないんじゃないですか。試合に出てるメンバーはほぼ去年と一緒だし、別に世代交代ができているかといえば、別にそうでもないかなと思います」。若手選手の突き上げが強まれば、よりホークスは強くなる。その循環はまだ起きていないというのが周東の見立てだ。
「やらなきゃいけない立場ではあるので。ここ何年か、ずっと試合に出させてもらっているし、僕とクリ(栗原陵矢)は特にですね」。球団として60年ぶりのリーグ3連覇を成し遂げても、周東の目はすでに先を見据えている。ホークスの未来を思うからこそ口にした、紛れもない本音だった。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)