今季1軍では3試合に登板して防御率0.00、大江竜聖の現在地
1軍のまばゆいスポットライトから離れること、約3か月半――。プロ10年目を迎えた大江竜聖投手は、2軍での調整を続けている。昨年5月に巨人からトレードでホークスに加入し、今年は移籍2年目のシーズン。もどかしい現状に置かれた左腕を、前へと向かせた“最強セットアッパー”の言葉とは。
大江は今季、オープン戦期間中の体調不良で出遅れ、開幕を2軍で迎えた。それでも開幕からファーム・リーグで11試合連続無失点と結果を残し、5月13日に今季初昇格。昇格後も3試合連続無失点と好投を続けたが、先発要員の昇格を見越したチーム事情で、わずか11日後の24日に登録を抹消された。それ以降、一度も1軍昇格がない。
2軍降格直後には、さらなるアクシデントが左腕を襲った。6月上旬、練習中に左手を負傷し、約3週間にわたってノースロー。思うようにいかない時間が続く中、気持ちを整理するきっかけになったのが、ある言葉だった。「今の自分には、すごく合っているような気がしたんですよね」。背番号「29」が明かした現在地は――。
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この先で分かる3つのこと
左腕を救った最強右腕から感銘を受けた「ある言葉」
もどかしい2軍生活で見つめ直した「投球感覚の変化」とは
1軍復帰へ向けて背番号「29」が明かした「現在の胸中」
「当然、最初に落ちてきた時は、悔しかったですよ。そこを嫌な感じというか、悔しい気持ちとかを出したりしたこともあったんですけど……。阪神の石井大智選手が去年、連続無失点の記録を続けていた時に『なるようになるので。結果はどうすることもできない。その中で100%の準備をしてきた』と話していた記事を思い出して」
巨人時代には2020年に43試合、2021年に47試合に登板した。しかし、年々登板機会は減少し、2024年は16試合。2025年も開幕を2軍で迎えた。そして移籍後、昨季は16試合に登板して防御率1.53。新天地で復調のきっかけをつかんだだけに、再び2軍で過ごす時間は、気持ち的にも決して簡単なものではなかった。そんな中で、ふと脳裏に浮かんだのが、阪神のセットアッパーについて書かれた記事だった。
「当時はそこまで何も思わなかったんですけど。2軍に落ちた時にふと思い出して。今の自分には、その言葉がすごく合っているような気がしたんです。自分を見つめ直す時間にはなっているかなと思います。今は別に(1軍へ)上がるときは上がるから、って思えています」
変化した投球時の感覚「今は楽しめています」
ファーム・リーグでは24試合に登板して、防御率2.10、2勝1敗3セーブ。試合以外では練習中にも、ブルペンに入る回数を増やして、自分のフォームを確かめている。怪我からの復帰過程で、投球の中でさまざまなことを試していくうちに、少しずつズレが生じていた。脚の使い方、手の使い方――。フォームを細かく意識するあまり、自分自身で難しくしていた部分もあった。
「試す中で全部が中途半端になったので。今はあまり意識しないようにしています。これまでは、疲れていても一緒のフォームにしようとしてたんです。でも、もうシンプルに考えるようにして、変なところを意識しなくなりました。今までは脚と手をこう使って投げなきゃとか気にしすぎていたので。今はもうシンプルにバッターとの対戦を楽しんで。今までは、自分のボールやフォームに固執していたんですけど。今は楽しめています」
チームは優勝争いの真っただ中。1軍で投げたいという思いがあるからこそ、胸の中には焦りや悔しさもあるはずだ。「それでももう必死にやるだけかなって。1軍で投げたいからこそ、常に自分のいい状態にしておかないといけないので。チームがいい状態なので、自分は自分ができることだけ全力をやるだけかなって思っています」。もどかしさの中で見つめ直した、自分の投球。その先に、再び1軍のマウンドが待っていると信じて――。
(森大樹 / Daiki Mori)