終盤戦で見せる驚異的な安定感
3連覇に向けた戦いも、いよいよ最終盤。チームを支えるリリーフ陣の中で、目を見張る安定感を見せている1人が、“8回の男”松本裕樹投手だ。幾度となく厳しい場面を切り抜け、昨季は初めて最優秀中継ぎのタイトルを獲得した経験豊富な右腕が明かしたのは、ある思考だった。「逆に考えないようにしている」――。
9日にみずほPayPayドームで行われた日本ハム戦。背番号「66」は2点リードの8回にマウンドに上がると、2者連続三振を含む三者凡退。2番から始まる日本ハムの上位打線を完璧に封じ込めた。これで10試合連続無失点と、シーズン終盤に入って安定感は際立っている。
4年連続で50試合登板をクリアし、今季もブルペンを支え続ける右腕。3、4月は8試合で防御率4.50と、本来の姿からは遠い状態だった。それでも、5月以降は44試合で防御率1.64と完全に立て直した。その裏には、通算337試合登板を誇る松本裕らしい考え方があった。2年連続のタイトルに向けて、右腕は現在地を冷静に明かした。
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この先で分かる3つのこと
松本裕樹が明かした、終盤戦の安定感を支える意外な思考
春先の不振から脱却した、劇的な状態上昇をもたらす球種
タイトル争いに迫る中、背番号66が内に秘める胸中とは
「失点した後どうこうとかは、逆に考えないようにはしています。いろいろと力んだり、考えたりする方が、僕的にはマイナスになるかなと思うので。問題があれば変えることはあるかもしれないですけど、基本的には一喜一憂するよりも、やってきた取り組みを信じて、変わらずやることの方が大事かなと思っています」
8月8日の西武戦(ベルーナドーム)では小島に逆転2ランを許し、4敗目を喫した。打たれた直後はマウンド上でしゃがみ込み、悔しさを噛み締めた。しかし、それ以降は10試合に登板して、計4安打無失点と修正を見せている。春先からトライ&エラーを繰り返し、日々の練習の中で状態を上向かせる作業を続けてきた。その積み重ねが、数字にも表れている。8月以降は15試合、15イニングを投げて21奪三振。相手打者を圧倒している。
「交流戦前くらいで真っすぐが良くなって、フォークが最近は良くなってきました。1回感覚が良くなってからは、大体は同じような感じで、悪くなることもなくって感じですね。(フォークは)春先からずっといろいろと探りながら練習はしていて、今やっと落ち着いているところです」
シーズン序盤には、フォークを思うように投げきれない場面もあった。「ちゃんとその時、その時でいい方向になるように、取り組んできたつもりではいるので。感覚良く、真っすぐも変化球も投げられていれば、これぐらいは出てほしいなというところではあります」。自分の感覚と向き合いながら、1つずつズレを修正してきた。「思うような結果が出ていないところはあった」と振り返っていた春先の姿は、もうない。
迫る登板数のキャリアハイ「53」
9日現在、登板数は52試合。2023年に記録した53試合のキャリアハイに、あと1試合と迫っている。「ある程度投げてからは、今年は超えそうだなとは思っていたので」。淡々と語る表情に、特別な感情はにじませない。2年連続となる最優秀中継ぎのタイトル争いでも、トップを走るロッテ・鈴木の「34」に3差と迫っている。
「それはチーム状況、相手もあると思うので。とにかく自分が投げる試合は、ゼロに抑えて勝てればいい。抑えられるようにっていうところを継続してやっていけたらなと思います」
3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場から始まった2026年。長いシーズンを戦い抜き、セットアッパーとしての強い誇りを胸に、盤石な状態が整った。積み重ねてきたものを信じ、あとは3連覇に向けて、チームのために腕を振り続けるだけだーー。
(森大樹 / Daiki Mori)