8月上旬に2軍昇格…先発増える中で抱いた本音
ホークスの将来を担う育成選手に焦点を当てた新コーナー「未来の推し鷹」。今回は育成2位ルーキーの江崎歩内野手が登場します。18歳にとって普段と変わらない1日だった「7.31」――。先輩の姿を見て、感じるものがあったといいます。8月上旬に2軍昇格を果たし、ここまで先発出場を増やしている今シーズン。コーチが語ったのは、ルーキーとは思えない“能力”でした。
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育成選手にとって“運命の一日”とも言える7月31日。支配下登録期限に向け、がむしゃらにアピールする選手たちの姿は、江崎にとってどこか「違う世界」のように感じられていた。「僕は正直、そこまで実感がなかったというか……。1年目ということもあって、その一日を強く意識していなかったというのが事実です」。去年まで高校生だった18歳にとって、プロ野球という世界に慣れることで精いっぱいなのは当然だろう。江崎の言葉は、どこまでもリアルだった。
8月4日から2軍に合流した江崎は、ここまでファーム・リーグで25試合に出場。先発出場の機会もぐっと増えている。打率.194と打撃に課題があるのは明確だが、巧みな守備に加え、何より「野球がうまくなりたい」というがむしゃらさは、首脳陣も高く評価するところだ。
8月以降に江崎が感じ取ったのは、“目標”が消えた後にファームを包んでいた「空気」だった。「やっぱり、そういうことなんだな……」。支配下昇格に向けて、決意を新たにした江崎に対するコーチ評は「賢いよね、頭が」。ホークスの“未来”を感じさせてくれる18歳の現状を追った。
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この先で分かる3つのこと
衝撃を受けた「先輩」の姿から学んだプロの厳しい現実
明石コーチが「賢い」と絶賛する江崎の驚くべき言動
厳しいプロの世界で18歳が「毎日が楽しい」と語る本心
「やっぱり厳しい世界だな、と率直に思いました。大泉さんもあそこまで結果を出しても支配下に上がれない。本当にシビアだなと感じましたね」
江崎が口にしたのは、育成3年目で今月16日には27歳を迎える大泉周也外野手の名前だった。「本当に1日1日を必死にプレーされている姿というのは、やっぱり見ていても伝わってきたので。なんとか食らいつこうという強い気持ちは改めて自分と違うな、と」。
明石コーチが語る江崎の能力「常に考えているからこそ」
7.31という“リミット”が育成選手にどれだけ大きいものかを感じたのは、期限が終わった8月以降だったという。「そこを終えた選手を見てやっぱり……。『そういう世界』なんだなというのを、まざまざと実感させられたというか、そういう気持ちは強かったですね。1年目でそういう先輩たちの姿を見れましたし、自分も来年はその対象となれるように、対象にしたいと思えるようなプレーや姿勢を今から見せていけたらなと思います」。江崎が得たものは大きかった。
今シーズン、江崎を近くで見守ってきた明石健志R&Dグループスキルコーチ(打撃)は、18歳の“能力”を高く評価する。「いい選手ですよ。賢いよね、頭が」。そう口にした理由は、江崎の言動にあった。
「彼のほうから質問が来るので。自分に何が足りないのか、将来どういうプレーヤーになりたいのか。それを常に考えているからこそ、質問ができる。自分で経験したからこそ『あ、これじゃ厳しいな』とか『これだったらいける』とか感じられる。そういう気付きは、年数を経るにつれて思わなくなる選手が多い。それを一番感じられるのが1年目とか、1軍や2軍に上がった時。明確に壁にぶつかって、初めて感じられるので。気付かない選手だったら、気付かせる努力はするけど、それで無理だったら仕方がない。そういう意味で、彼は感じたことを自己分析できているよね」
まだまだ伸びしろしかない18歳が感じたプロの厳しさ。それでも、やるべきことは変わらない。「今は本当に毎日が楽しいです。レベルの高いところでやらせてもらっているのは、ありがたいなと。1年目からこれだけ2軍の試合に出させてもらっているので。本当に打席に立つのも楽しいし、充実した日々を過ごさせてもらってます」。江崎は目を輝かせながら、現状に感謝を口にした。将来のホークスを背負う資質は、十分に持っている。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)