育成2年目・漁府、成長の裏にあった「努力の結晶」
ホークスの将来を担う育成選手に焦点を当てた新コーナー「未来の推し鷹」。今回は力強いフルスイングが魅力の大砲候補、2年目の漁府輝羽外野手が登場します。1年目の昨季は非公式戦でチームトップの105試合に出場して6本塁打を放ったものの、打率.156、127三振と確実性に大きな課題を残しました。一方で今シーズンは45試合に出場し、3本塁打、打率.285。三振はわずか27に減少。明らかな成長を見せています。その変化の裏には1年目から必死に続けてきた「努力の結晶」がありました。
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東北福祉大では公式戦でわずか4打席とチャンスに恵まれなかったが、長打力にポテンシャルを見出され、2024年育成ドラフト10位で入団。1年目は「三振を気にするな」という方針の下、バットを振り続け、積み上がったのは127個の三振の山だった。ぶち当たったプロの壁ーー。それでも長く悔しい1年を越えて、漁府の心に残ったのは「この悔しさを絶対に無駄にしたくない」という思いだった。
2年目の今季、前半戦は主に3軍で過ごしたが、7月23日のファーム・リーグ中日戦(タマスタ筑後)で公式戦初安打を記録。8月30日の広島戦(タマスタ筑後)ではサヨナラ打を放つなど、公式戦で結果が出始めている。2軍では初めて中堅の守備もこなすなど、走攻守で劇的な成長を見せる23歳ーー。変化の裏には明確な体の変化があった。
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この先で分かる3つのこと
劇的な変化を遂げた大砲候補が打ち明けた「肉体改造」の数字
打撃フォームの刷新とコンタクト力向上につながった「特別練習」
斉藤和巳2軍監督が目を細めて評価する「漁府の真の強み」
「この1年で体が締まったことが、一番大きいかなと思います。1年目に入寮した時、体重が102キロくらいで、体脂肪が23%あったんです。今年の春季キャンプに入る時は体脂肪が13%くらいで、体重も約10キロくらい落ちていて。そのおかげで動きやすさはすごくありました」
入団直後から「体を変えよう」と決め、栄養士の下で食事管理をしっかりと行った。ウエートも日々継続しながら、長いスパンで自己管理。「スプリントのタイムが4.5秒とかだったんですけど、今年に入ってから3.9秒台が出たり。守備でも足が動きますし、打撃にも粘りが出ています」。2年目で見え始めた変化を、自身が最も感じ取っていた。
人一倍努力をするという考え方は練習から常に貫いてきた。3軍にいる時でさえ、午後9時を過ぎても室内練習場で1人黙々とバットを振る姿もあった。それは全てプロ野球の世界で結果を出すための努力だったーー。
「もうやるしかないので。失敗したから落ち込むとか、そういう感覚が僕ら育成にはないと思うので。失敗したら落ち込む時間がないくらいやるしかない。そういう感じでやってます」
斉藤和巳2軍監督「彼はいつも必死だから」
昨年のオフから春季キャンプにかけては、コンタクト力を向上させることにフォーカスして取り組んできた。「ただ振るだけじゃなくて、バットの軌道、間(ま)の取り方……。イチから全部を見直したので、だいぶフォームも変わりました。打席でのタイミングの取り方も無駄を減らそうと、トラジェクトアークでボールを見るだけの練習もしました」。課題がはっきりしていたからこそ、そこに注力することができた。
「(支配下の選手と)一緒の練習をしていても、絶対に追いつけないと思うので。人より多く振ったり、フォームを確認したり。練習の量は自分の中で絶対に意識してやっていますね。このまま自分が置いていかれたくない。小さいときから絶対に諦めることだけは嫌だったので。まだまだ自分の力もないですし、今も2軍にいて、自分よりも経験している人たちがいっぱいいる中でやらせてもらっているので」
今の活躍を喜んでいる1人が、斉藤和巳2軍監督だ。3軍監督時代からその努力を見守り、時には膝を突き合わせて言葉をかけ続けてきた。「彼はもう、いつも必死だから。常に上手くなりたいと思っている。打つだけじゃなくて、走塁も守備もというのが彼の頭の中にあるので。走攻守を常に大事にして、練習の時からやってくれている。三振数は減ったけど、それを前に飛ばして。やっぱりそれを長打にできる選手になってほしいね」。今の姿に目を細めながら言葉を漏らした。
来季は育成選手として一区切りの3年目を迎える。目標の支配下登録を掴むためにーー。「あれだけの三振をしましたけど、たくさん試合に出させてもらって。正直もう何をどうしていいか分からなくて、上手くいかないことばかりだったんですけど。今は『去年の失敗は無駄じゃなくて、自分にとって大事な1年間だったな』と思います」。今日も漁府輝羽は必死にバットを振り続ける。絶対に諦めずに続ける努力が一番の武器だ。
(森大樹 / Daiki Mori)