木村光が9日ぶりの登板…口にした覚悟
苦悩の末、思い立った行動には右腕の覚悟が表れていた。29日に京セラドームで行われたオリックス戦。1点ビハインドの7回、木村光投手がマウンドへ上がった。ヒットと2四球で2死満塁のピンチを招いたが、最後は山中を遊ゴロに打ち取り無失点で切り抜けた。追い上げるチームにとっても、背番号68にとっても重要な意味を持つ1イニングだった――。
プロ4年目の2026年シーズン。自己最多の35試合に登板して、3勝0敗10ホールド、防御率2.73の成績を残している。開幕から9試合無失点を継続するなど、序盤はブルペンの柱として支えてきた。しかしゼロを並べられない試合が続き、これまで2度の2軍降格を味わうなど徐々に登板機会を減らしている。
そんな中、チームが25日からビジター6連戦を迎えるにあたって、右腕に大きな変化があった。「茶髪から黒にしたのは遠征が始まる前くらいですね」。心機一転、髪も短くしてグラウンドへ。ふとした変化ではあったが、これは気分を変えるだけではなく、しっかりと意味を持たせた行動だった。20日の日本ハム戦(エスコンフィールド)以来、9日ぶりの登板。口にした強い危機感と覚悟の言葉とはーー。
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この先で分かる3つのこと
2被弾の屈屈から一新、木村光が黒髪に込めた本当の覚悟
状態良きも重なる失点、プロで生き残るため直面する壁とは
苦悩の先に見立てた、「全部うまくいかない」から得る充実
「自分が投げて抑えられない。その自分が情けなくて、恥ずかしくて。何か変えようと思ったんです。そんなことで何かが変わることではないと思うんですけど。成績も出ていないですし、何かを変えたい。そんな気持ちでした……」
右腕の脳裏に焼き付いているのは、前回登板となった20日の日本ハム戦(エスコンフィールド)だった。2点ビハインドの7回に登板すると、先頭の清宮にバックスクリーン左へ飛び込むソロ本塁打を浴びた。2死からも野村に右翼スタンドへ運ばれ、「人生で初めて」と語る1イニング2被弾の屈辱を味わった。栗原陵矢内野手の満塁弾で引き分けに持ち込んだ一戦だが、自身の結果だけは許せなかった。
「点を絶対に取られたくない場面でしたし、自分の中では点をあげるつもりもなくマウンドに上がっているので。でも相手にデータも入って変わってきている。今年の春の状態に戻しているようでは、今みたいな結果になる。やっぱり自分が進化しないと通用しない」
ここ5度の登板機会の中で3度の失点。状態は悪くない中、重ねる失点に壁を感じていた。そんな中、ビジター遠征を迎える前、右腕が福岡の地で向かった先は美容院だった。「気持ち的に一から、また前に戻るって言ったらあれですけど……」。感情を入れ替えて、もう一度――。そんな思いが行動となった。
「充実していますよ」…右腕が自覚する壁
この日は7試合ぶりとなる久しぶりの登板機会。チームが1点差まで追い上げる中、追加点は許されない7回のマウンドへ上がった。「とにかくゼロで終われるように」。チームにとっても大切なマウンドは、自らの信頼、そして1軍生き残りをかけた局面でもあった。
「フォアボールでランナーを出しても結果的にゼロで抑えるのが中継ぎの仕事だと思うので。今日は反省することも多かったですけど、とにかくそれを次に生かせるようにやっていくだけです。でもキャッチボールの内容だったり、ブルペンで投げている球の状態も良くなっているので」
プロで長く活躍するために、乗り越えないといけないものが多いと自覚する。「今こうした登板数を投げられて、充実しています。全部うまくいきすぎたら面白くないじゃないですか。だからそう思って今頑張るしかないと思っています」。“初めての経験”が多くある2026シーズン。壁を乗り越え、木村光はまた1つ大きくなる。
(森大樹 / Daiki Mori)