7回無失点で6勝目…山本祐大とは初のバッテリー
お互いの「強い意思」が共鳴した。初コンビとは思えないほど、冴え渡る配球術。移籍3か月で存在感を放つ相棒の強気なリードに応えるように、必死に腕を振った。上沢直之投手は、山本祐大捕手と初めてバッテリーを組んで7回無失点。6勝目を挙げ、大阪のファンに勝利の瞬間を届けてみせた。
「南海ホークス復刻ナイターin大阪」として京セラドームで行われた4日の日本ハム戦。上沢は、相手先発の伊藤大海と投手戦を演じた。6回に山本祐の犠飛で先制。直後の7回、背番号10は先頭打者の出塁を許したが続く有薗を三ゴロ併殺に仕留めるなど無失点で切り抜けた。「あそこはツーシームで上手く打たせられたので、よかったと思います」。右肘のコンディション不良から復帰した6月以降では最長となる7イニングを投げ切った。
降板後、球団広報を通じて「今日はあまり調子は良くなかったです」と振り返った右腕。そのうえで「祐大とコミュニケーションを取り、いいボールを選んでサインを出してくれた」と、互いを信じ合ったからこそ生まれた最高の結果に、感謝の言葉を口にした。配球の中で明らかに表れていた1つの“傾向”。上沢が明かしたのは、山本祐から伝わってきた「強い意思」だった。
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この先で分かる3つのこと
本調子にあらず…上沢直之が明かしていたリアルな葛藤
“ある球種”が激減…山本祐大と作り上げた配球の裏側
初コンビで感じた「強い意思」…山本祐大に寄せた信頼
前回登板で打ち明けていた右肘の葛藤
「ブルペンとかキャッチボールの感じはあまりよくなかったんですけど、そういう時ほど丁寧にいけるので、それがよかったのかもしれないです」
日本ハムを象徴するエースとの投げ合い。1点も与えられない――。そんな緊張感は、自然とパフォーマンスにもつながっていた。「そういう意味では、大海のおかげもあったと思いますね」。5月17日に右肘のコンディション不良で登録抹消。リハビリを経て6月23日から1軍に復帰したが、右腕の中でも試行錯誤は続いている。集中力を途切れさせなかったことが、この日最大の勝因だった。
7月21日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)で先発したが、6回2失点で4敗目を喫した。終盤は球速も落ち、ツーシームを選択する場面も増え「ああなった時にも抑えないといけないし、ボールを動かして抑えるのもすごく大事なスキルなので」と語っていた。右肘についても「正直、日によるところはありますね。本当に、その日によって状態が変わったりもするので」。今できる最善を尽くすしかない。言葉を絞り出す右腕の表情には、葛藤も表れているようだった。
大阪で臨んだ日本ハム戦も、決して本調子ではなかった。工夫を凝らしたのが配球面だ。過去の登板では全体の約15%を占め、空振りも取れる強力な球種として威力を発揮してきたカットボールが、この日は数球程度にとどまった。「投げたいボールの優先順位を事前に話し合ってから、試合に行きましたね」。多くを語らなかったが、これまでとの“違い”を見せながら日本ハム打線を封じたのは確かだ。
初バッテリーを組んだ山本祐大も「上沢さんのおかげ」
山本祐も、上沢とのバッテリーについて汗を拭いながら振り返る。カットボールの比率を抑えたことにも「今日は本当に真っすぐがよかったので。要所でフォーク、カーブも有効的に使えている感じもあって、カットとチェンジアップが少なくなったんだと思います」と解説した。5月12日にトレード移籍して、まもなく3か月。1人1人の投手へ理解を深めているのは、背番号39が継続する準備に他ならない。
「上沢さんとはファイターズの時の対戦もありましたし、直近で投げている試合も見ながら、自分なりにどういう球種が当てはまっていくのか。海野さんとバッテリーを組まれている時と、比べながら今日は挑みました。初めてで色々わからないこともあったと思うんですけど、すごく信頼してくれて、腕を振って投げてくれたので上沢さんのおかげです」
日本ハム、そして米国時代も含めて数々の捕手とバッテリーを組んできた上沢。初めてコンビを組んだ山本祐は、どんなキャッチャーと感じたのか――。「押すところは、自分の中でも『こういうふうに押したい』と。意思が強いタイプだなと思いましたね」。お互いの準備とリスペクトの思いが実を結んだ1勝。一緒に味わったヒーローインタビューは、新鮮で格別だったに違いない。
(竹村岳 / Gaku Takemura)