本拠地では353日ぶりとなる一発
実に353日ぶりに本拠地でアーチを描いた――。21日にみずほPayPayドームで行われたオリックス戦。山本恵大外野手は2回無死で迎えた第1打席、149キロのツーシームを捉えた。「1軍ではないですね」と振り返る、中堅方向への豪快な一発。5月26日の巨人戦(東京ドーム)以来となる今季2号ソロで、本拠地では2025年8月2日の楽天戦以来となる一発だった。
5月30日の広島戦(みずほPayPayドーム)では、右翼への飛球を追ってフェンスに頭部を強打。途中交代し、救急搬送先の病院で「脳振盪」と診断された。翌31日に脳振盪特例措置で出場選手登録を抹消。復帰プログラムを終えても、なかなか1軍から声はかからなかった。それでも7月はファームで20打数9安打、打率.450と結果を残し、再昇格の切符を自らつかみ取った。
約1年ぶりに浴びた本拠地スタンドからの「恵大コール」。定位置をつかみかけた中で味わった悔しい離脱を乗り越え、ようやく戻ってきたこの舞台。「もう一度、必ずチャンスをつかみ取ってみせる」。そう何度も自分に言い聞かせ、努力を積み重ねてきた。その裏には「僕の原動力です」と語る大切な存在があった。
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この先で分かる3つのこと
離脱中の山本恵大を奮い立たせた「僕の原動力」の正体
タマスタ筑後で背中を押してくれたファンの「温かい言葉」
本塁打の走塁中、山本恵大が二塁付近で思わず迷った理由
「調子が良い時も悪い時も、ファンの方はすごく僕に力をくれるので。年齢的にもそうですし、立場的にもこの1軍という舞台でずっとやっていかないといけないという気持ちにもなります。本当に『僕の原動力』だと思います」
リハビリ中にタマスタ筑後で目にした光景
脳振盪からの復帰プログラム中には、3軍戦出場のためタマスタ筑後でプレーした。そこで待っていたのは、自身のタオルやグッズを手に、温かい声援を送ってくれる多くのファンだった。5年目を迎えた今も、プロ生活の多くを過ごしてきた場所。その声援を励みに、再び1軍へ戻る日を信じて汗を流し続けた。
「あの時は、もちろん悔しい気持ちもあったんですけど。本当にたくさんの『頑張って1軍に戻ってきてね』という声をかけていただいたので。そういう言葉をもらうと、『早く戻りたい』という気持ちにもなりますし、『もっと頑張らないと』とも思えるんです。『この人たちのために』というか。本当にありがたかったです」
そして、この日は4万122人の観衆が詰めかけた本拠地。ホームランを放ち、攻撃を終えて右翼の守備位置へ向かうと、大歓声が降り注いだ。「『いいぞ、いいぞ恵大』って。あの声援は本当に嬉しいですよね」。約1年ぶりに味わった”あの光景”。山本恵は右翼の定位置からスタンドへ丁寧に一礼し、声援に応えた。
待ち望んでいた1軍でのチャンス。再昇格後、初となるアーチが持つ意味は大きい。「やっぱり今、スタメンで使ってもらっている中で、自分としても大きかったかなと思います」。打球がグラウンド内に跳ね返ってきたため、二塁付近では一瞬だけ本塁打かどうか迷う場面もあった。
「打てたのはよかったですけど、前回の東京ドームで打った時も(ポール際でビデオ判定になって)あまり気持ちよく走れていないので。次に打つホームランは、完璧に1周したいなと思います。明日からも打ち続けて、自分をアピールしていきたいです」
来月8月には27歳を迎える5年目のシーズン。「大変な部分もありますけど、まだまだ全力でやっていきます」。そう笑顔で言い残し、球場を後にした。ようやく戻ってきた1軍の舞台。山本恵大の挑戦は、ここからが本当の始まりだ。
(森大樹 / Daiki Mori)