今季最短の5回で3失点も…リーグ2位の9勝目をマーク
打球が一、二塁間を破り、走者2人がホームに返ってくると、大津亮介投手はグラブを自身の右脚に強くたたきつけた。怒りすら感じさせた表情は一瞬だけ。「オーケー!」。自らに言い聞かせるように声を上げ、マウンドに戻った。その姿に見えたのは、9連戦の初戦という重要な役目を任された男の“気概”だった。
18日のロッテ戦(ZOZOマリン)。先発の大津は確かに苦しんだ。初回から1点を失うと、5回には2つの四球と安打で2死満塁を背負う。ここで安田に2点打を右前に運ばれた。今季最短となる5回で降板し、3失点。リーグ2位の9勝目を挙げたが、右腕の表情は晴れなかった。
5回終了後、交代を告げるために大津のもとを訪れた小久保裕紀監督は、人差し指を立てるジェスチャーを見せながら右腕に言葉をかけた。その行動に込められていたのは、揺るがぬ“信頼”だった。「あれはですね……」。大津が明かした思いに迫った。
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この先で分かる3つのこと
監督が人差し指を立てた理由…その舞台裏
倉野コーチが「寂しい」と漏らした真意
怒りを隠さなかった右腕の「次なる覚悟」
「監督からは『あと1試合やぞ』と声をかけてもらいました」
倉野コーチの期待がにじむ「寂しいですよね」
小久保監督が大津に伝えたのは、9連戦中に訪れる次の登板に向けたメッセージだった。今季は開幕投手を務めた上沢直之投手が右ひじのコンディション不良で一時離脱。リバン・モイネロ投手も調整が遅れ、ここまで1軍登板を果たせずにいる。チームの主戦を務める両輪の思わぬアクシデントを支えてきた右腕への信頼は揺らぐことはない。
だからこそ、大津は怒りを隠すことはなかった。「あそこは絶対に抑えなくちゃいけない場面だったので。悔しさしかなかったですね。それが出てしまいました」。上沢が離脱した際には「自分がやらなくちゃいけない」と口にするほど、責任を感じていた。グラブを振り上げたのは、ふがいなさを感じたからだった。
これまで大津に対して“辛口評価”を口にすることも多かった倉野信次投手チーフコーチ兼ヘッドコーディネーター(投手)は、この日の投球をどう見たのか。その答えは、今の右腕の立ち位置を如実に表していた。
「久しぶりの屋外で、暑さというところも(苦しんだ)大きな要因だったとは思います。最低限というところですかね。これで満足してもらっては、寂しいですよね。もちろん頑張ってくれたとは思いますけど、これで満足するピッチャーだと僕は思いたくないです。やっぱり『もっともっと』という気持ちがないと、この先の成長はないと思うし、僕はもっと高いところを大津に要求したいなと思います」
大津も自身が置かれている立場、そして首脳陣からの期待は重々承知している。「この時期になるとみんな疲れてくると思いますし、それは言い訳にはならないので。次は最少失点で抑えられるようにしたいと思います」。言葉よりも、見せるべきは姿――。大津亮介は覚悟を持って、次のマウンドに上がる。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)