山本恵大が1軍昇格を果たした
チャンスを掴み取るために、貫いた行動があった。山本恵大外野手が18日、今季2度目の1軍昇格を果たした。脳震盪での抹消から47日ーー。「もうやるだけです。呼んでいただいたので。自分がやってきたことを変えずにやっていきます」。力強く口にした言葉には、どんな状況でも決して曲げなかった信念が込められていた。
5月30日の広島戦(みずほPayPayドーム)で右翼へ飛んだ打球を追い、フェンスに頭部を強打。途中交代し、救急搬送先の病院で「脳振盪」と診断された。翌31日に脳振盪特例措置で登録を抹消され、復帰プログラムを消化。復帰後もなかなか1軍から声がかからない日々が続いたが、7月はファームで20打数9安打、打率.450と結果で存在感を示していた。
復帰プログラム中には、昨年3月の「おいどんカップ」以来、約1年3か月ぶりとなる3軍戦にも出場した。1軍での定位置を掴みかけたタイミングでの離脱にもちろん悔しさはあった。それでも、この期間で何より意識していたことがあった。長い3軍暮らしを経験して支配下登録を勝ち取り、そして1軍を経験した今だからこそ、自分に課していた役割とはーー。「その姿を真似させてしまったら、僕が悪い」。
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この先で分かる3つのこと
3軍の若鷹に良い影響を…山本恵大が筑後で徹底した姿勢
「それでいいんだ」山本恵大が思わせたくなかったこと
もがく背中を押した、斉藤和巳2軍監督の重みある言葉
「僕は(入団から)ずっと3軍の期間が長かったので。今3軍でプレーしている選手にも『支配下になって、1軍でもやれるんだ』という良い影響を与えたいなと思うので。今回も3軍にいる時間は短かったですけど、1軍に上がって『変わったな』と思われるのは嫌ですし、落ち込んでいる暇もなかったので。そこはいつも以上に、絶対に誰よりも声を出したり、全力疾走したりすることは心がけてやっていました」
遡ること5か月――。タマスタ筑後で春季キャンプが始まった2月1日。練習開始前、大越基3軍監督が円陣の中央で選手たちに問いかけた。「去年、C組からキャンプをスタートさせて、支配下を勝ち取って、1軍でホームランを打った選手がいたな?」。その選手こそ山本恵大だった。昨季、キャンプC組スタートから2軍で打率.486という圧倒的な数字を残し、1軍昇格を勝ち取った。その姿は今も3軍選手たちの目標の一つになっている。
「やっぱりそういうところからだと思うんです。上(1軍)に行けば先輩もみんなそうやっていましたし、自分もそんな姿を見てきたので。周りも僕のことを見ていたり、『僕みたいに』と支配下昇格を目指している選手が少なくないと思うので。ここで(手を抜いて)『それでいいんだ』と思わせてしまうのも良くないですし、その姿を真似させてしまったら僕が悪い。そこはしっかり頑張ろうと思っていました」
貫く行動「どんな活躍をしても…」
開幕直後、1軍に呼ばれずにもがいていた山本恵へ、斉藤和巳2軍監督が声をかけたことがあった。「意識を高くやっていたからって、チャンスが来るとは限らない。そういう厳しい世界だから。でも、そういう姿勢はみんなが見ているし、感じている」。その言葉を胸に、下を向くことなくルーティンを継続した。その積み重ねが実を結び、5月には1軍で定位置をつかみかけるほどの活躍を見せた。
「見え方を気にするっていうのもダサいですけど。でも誰かが見ているし、絶対にそういう世界だと思うので。僕を評価するのは僕自身ではない。そこはがむしゃらにやろうと思ってやってきました。今後どんなに活躍しようが、そこは貫いて。しっかりやっていきたいなと思っています」
不振で登録を抹消されたわけではない。脳振盪による離脱だったからこそ、悔しさはなおさら大きかった。「あの時もやるべきことを続けて1軍に行ったら打てた。今回もそのために目の前のことを一から見つめ直してきたので」。チャンスは、準備を怠らなかった者だけに訪れる。山本恵大が再び1軍の舞台に戻ってきた。
(森大樹 / Daiki Mori)