脳震盪での離脱から約1か月半、山本恵大の現在地
もう一度、必ずチャンスをつかみ取ってみせる。脳震盪による登録抹消から約1か月半、山本恵大外野手が、胸中を明かした。「打てなくて抹消とは違うじゃないですか。(抹消に対する)感じ方も全然違いました」。5月26日の巨人戦(東京ドーム)では1号ソロを放つなど、1軍の定位置を掴みかけた中での悔しい離脱だった。
5月30日の広島戦(みずほPayPayドーム)。3回2死一塁で右翼に飛んだ打球を追い、フェンスに頭を強打した。数十秒間ひざまずいた後にプレーを続行し、直後の打席では出塁。しかし代走を送られて途中交代となり、救急搬送された病院で「脳震盪」と診断された。翌31日に脳震盪特例措置で登録を抹消され、その後は「絶対安静」の2日間を自宅で過ごし、7日間の復帰プログラムを消化した。
6月7日のファーム・リーグ広島戦(タマスタ筑後)で実戦復帰を果たすと、その後も2軍戦での出場を続け、打率.354と堂々たる数字を残している。今だから明かす離脱のきっかけとなった“あのプレー”への本音。そして、1軍への率直な感情を語った。
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この先で分かる3つのこと
フェンス激突の守備に後悔はあるか?本人が明かした本音
復帰後なかなか1軍に呼ばれず本人が漏らした率直な胸中
腐らずに前を向く原動力となった一軍で戦う「仲間」の存在
「あの守備で安全策を取って、(直接捕球を狙わずに)クッションボールを捕りに行くのは、僕の立場的には絶対違うなと思いました。それは今でも思うので。あのプレーに後悔はないです。全力でやった結果なので。あの場面でしっかり捕れるのが一番いいんですけど。捕れるように練習するだけです」
2軍で4割を超える打率を残していた3、4月。「守れないと1軍には上がれない」と自身の課題を見つめ、城所龍磨2軍外野守備走塁コーチと守備練習に励み続けてきた。1軍昇格後も試合前には右翼で重点的にノックを受けるなど、努力を積み重ねていた。
「怪我でプレーができないだけなら『わかりました』となるんですけど。脳震盪は7日間のプログラムというルールがあったので。でも正直、その7日間が終わったら(1軍へ)上がるものだと思っていた自分もいました。そこから2軍戦、3軍戦を経て、また2軍戦に出て。『あ、呼んでもらえないんだ』という気持ちも正直ありました」
はっきりと見えた手応え「レギュラーになれる」
5月12日に1軍登録されると、11試合で打率.290(31打数9安打)、1本塁打、2打点と結果を残した。「このまま1軍でいけるんじゃないか。レギュラーになれるんじゃないかって。使われ方的にも、そんなふうに思っていました」。プロ入り後、初めて1軍を経験した昨季とは打席での感覚も大きく異なっていた。
「去年は相手ピッチャーと戦うというより、自分と戦っている感じだったんですけど。今年は1軍に上がってから、きちんとピッチャーと勝負できている感覚がありました。ホームランも打てて。感覚は良かったのかなと思っています」
あのプレーに後悔はない。それでも悔しい離脱だった。だが、今は前だけを向いている。その理由は、ともにファームでも汗を流してきた選手たちが1軍で見せる姿にある。「正木(智也)も今年はリハビリからでしたし、庄子(雄大)、(廣瀬)隆太も1軍で結果を出している。みんなやるべきことを理解して、前だけを向いてやっていたので」。だからこそ繰り返したのは、「今、目の前のやるべきことをしっかりやる」という言葉だった。
「チャンスがなくなったわけではないですし、まだまだ巻き返せると思っています。僕も2軍で打ち続ける中で、なかなか呼ばれなかった時期がありましたけど、やるべきことを続けて1軍に行ったら打てたので。その気持ちをもう一度ゼロから持って、しっかり呼ばれるだけの準備をしていきたいなと思っています」
勝負の1年として迎えた、大卒5年目の2026年。「腐っているわけにいかないので」。そう笑顔を浮かべながらも、表情には確かな覚悟がにじんでいた。山本恵大は、必ず1軍の舞台に戻ってくる。
(森大樹 / Daiki Mori)