川瀬晃が前田悠伍へ伝えた“小さな気づき” 好守直後にベンチで…感じた「他の人よりうまいことを」

  • 記者:森大樹
    2026.07.09
  • 1軍
前田悠伍(右)に声をかける川瀬晃【写真:栗木一考】
前田悠伍(右)に声をかける川瀬晃【写真:栗木一考】

7回のピンチで川瀬が前田悠にかけた言葉

 緊迫した一戦で光ったのは、背番号「0」の周到な準備だった。「接戦の試合こそ、守備が一番大事だと思うので。しっかりアウトにできて良かったです」。試合を左右する重要な局面で、先発左腕と交わしたやり取り。川瀬晃内野手がピンチで見せた“一流選手”たるゆえんとは――。

 8日のオリックス戦(京セラドーム)に「7番・遊撃」で4試合ぶり、遊撃手では約2か月ぶりのスタメン出場。1点リードの7回2死二塁、自身7連勝をかけて先発した前田悠伍投手がこの日最大のピンチを迎えた。西川が7球目のスライダーを捉えた打球は遊撃を守る川瀬のもとへ。三遊間を抜けそうな打球を掴み取ると、難しい体勢から一塁へ正確な送球を投じ、大ピンチを切り抜けた。

「本当に悠伍が頑張っていたので」。この西川を迎える直前には、自らマウンドへ駆け寄った。20歳の左腕へかけた「たった一言」とは。そして、無失点で切り抜けた直後、ベンチでも交わした会話とは――。試合後に明かしたやり取りの内容から、川瀬の徹底した「準備力」が浮かび上がった。

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この先で分かる3つのこと

カメラが捉えた!ピンチ後に川瀬が左腕へ放った一言
後輩の庄子雄大も驚嘆する川瀬の「恐るべき予測力」
限られた出番でも川瀬が前を向き続けられる理由とは

「とにかく『頑張れ』という一言だけです。悠伍が良いピッチングをしてくれていましたし、あの場面で何かがあったわけじゃないですけど、『とにかく2アウトだから頑張ってくれ』と言いにいきました」

 序盤から1点を争う攻防が続く中、6回に柳町達外野手の適時打が飛び出し、勝ち越した。すでに93球を投じていた前田悠は、そのまま7回のマウンドへ。チームのために懸命に腕を振る20歳が迎えたピンチで、川瀬の足は自然とマウンドへ向いていた。

 無失点で切り抜けてベンチへ戻ると、川瀬は再び前田悠へ声をかけた。中継カメラにも映っていたそのやり取りは、西川との対戦中に一度見せた二塁への牽制についてだった。二塁ベースへカバーに入って感じた感覚のズレを伝えておきたかった。

「悠伍の二塁への牽制のタイミングが思ったより速かったので。今後のために『自分が人よりターンがうまいことを覚えとけよ』って。それだけです」。次に同じような場面が訪れた時のため、小さな気づきを次へ生かす。その姿勢には、常に先を見据えて準備を重ねる川瀬らしさがにじんでいた。

ピンチで好プレーを見せた川瀬晃【写真:栗木一考】
ピンチで好プレーを見せた川瀬晃【写真:栗木一考】

庄子が驚いた川瀬の「感じ取る力」

 昨季、単独最下位からの逆転優勝を成し遂げたチームで、象徴的な存在となった28歳。スタメンでも途中出場でも、自分の役割を全力で果たし続けてきた。その裏には、決して怠らない「準備」がある。5学年下の後輩・庄子雄大内野手も「晃さんは野球勘もそうですし、監督が考えていることを予測したり、自分の出番や役割を感じ取る力だったり。全ての『準備』が人の何倍もすごいなと思います」と驚きの声を口にする。

 プロ11年目の今季は29試合で打率.204、6打点と、決して思い描いたシーズンを送れているわけではない。それでも、3日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)では決勝打を放ち、ヒーローインタビューにも選ばれた。自身の現状を「試合に出られないのは自分のせい」と受け止めながらも「もちろんチームが勝つことが目標。まずはしっかり状態を上げて、もっと信頼される選手を目指してやっていきたいです」と前を向く。

 どんな立場でも、自分の役割を全うする。「バッティングはやっぱり難しいですけど、打撃にしても守備にしても準備が一番大事になってくるので。引き続き普段の練習から突き詰めてやっていきたいなと思います」。打撃では無安打に終わり、チームは悔しいサヨナラ負けを喫した。それでもこれからもワンプレーが勝敗を左右する試合が続く。ここぞという場面でチームを救う川瀬晃という男の存在は、やはり欠かせない。

(森大樹 / Daiki Mori)