苦しみを乗り越えて7月3日のロッテ戦で決勝打
選手の知られざる本音をお届けする新たな連載「鷹フルnote」。今回は、川瀬晃内野手の登場です。昨季は単独最下位からの大逆転Vを成し遂げたチームの象徴的な存在となりました。一方、2026年シーズンは背部痛で登録抹消されるなど、思うような活躍ができずにいる28歳。シーズン折り返しを迎えた今、何を思うのでしょうか――。「口にしては言いたくないんですけど……」。本心に迫りました。
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2025年シーズンの“救世主”が苦しんでいる。76試合を消化した現在、出場28試合で打率.216、6打点。自身が思い描いた理想とは程遠い現状だ。それでも、3日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)では決勝打を放つなど、お立ち台に上がる活躍を見せた。身体が癒えたここからが、本領を見せる時だ。
本気でレギュラー取りを目指して臨んだ11年目の今季。5月26日に背部痛で登録抹消となったが、その少し前には明らかに表情が沈んでいた。「大丈夫ですよ、心配しないでください」。気丈にそう口にした川瀬だったが、心中は様々な思いが巡っていた。「難しいですね。それに関して言うと……」。
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この先で分かる3つのこと
「口にしたくない」川瀬が吐露した葛藤の正体
野球人生を懸ける川瀬が語る、若鷹への本音
中村晃の引退を知り、川瀬が心に刻んだ覚悟
「あまり口にしては言いたくないんですけど、悔しいという想いだけですね。もちろん自分の力不足なので。別に誰のせいだとか、そういうのは全くないんですけど。自分に歯がゆい思いをしながら、今戦っている……。正直な話、そういう想いがほぼですね」
シーズン開幕から決してコンディション面が万全ではなかった。それでも本人は首を横に振る。「それに関しては、別に関係ないというか。とにかく自分のできることを、その範囲でやっていくしかないので。それはもう、どういう状況であろうが結果を残すのがプロだと思いますし。身体が痛いのは僕だけじゃないし、その中で結果を出していかないと。もっと僕も試合に出たいし、悔しい気持ちも持ちながら、やってきたいなと思います」。言い訳することなく、現状を静かに受け止めた。
庄子の台頭…迫りくる世代交代に「争っていかないと」
今季はこれまでチームを支えてきた今宮健太内野手もベンチを温める日々が続き、2年目の庄子雄大内野手が遊撃としてはチーム最多の32試合で先発している。着実に迫ってきている“世代交代”の4文字。川瀬が口にしたのは強烈な危機感と、シーズン後半に向けた覚悟だった。
「まだ折り返しですし、自分が必要になる時が必ず来ると信じています。それに伴う結果も出さないといけないので。もちろん、チームが勝つために野球をやるんですけど、やっぱりそこも争っていかないと。自分の野球人生もかかっているので。もっともっと頑張らないといけないなと思います」
川瀬が決意を新たにする出来事もあった。7月3日に今季限りでの現役引退を表明した中村晃内野手。プロの世界で11年間を戦い抜いてきた28歳にとって、衝撃だった。
「プロ野球というものを教えてくれた先輩ですし、自分が一番なりたい姿でした。ホークスの伝統を引き継いでくれた先輩の1人だと思いますし、今度は自分たちが後輩に伝えていかないといけない。自分たちの代が引っ張っていかないと、このチームは強くならないと思うので」
スタメンで出場した試合だけでなく、途中出場でも全力で役割を全うすることこそが「ホークスの伝統」だ。約2週間ぶりに先発した7月3日のロッテ戦での活躍が、まさに川瀬の本領が輝いた瞬間だった。「出たところで、しっかりやるだけなので。それは変わらずにやっていかなきゃいけないと思います」。ペナントレースはここから勝負の時期を迎える。川瀬の存在が必要な時は、きっと訪れる。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)