海野隆司が首脳陣を手招き…オスナが感謝した明確な言葉 1死満塁で描いた“決着のイメージ”

  • 記者:森大樹
    2026.06.29
  • 1軍
マウンドで会話を交わす海野隆司とロベルト・オスナ【写真:加治屋友輝】
マウンドで会話を交わす海野隆司とロベルト・オスナ【写真:加治屋友輝】

7回1死満塁の場面で海野がマウンドへ

 4時間23分の熱戦、最大のピンチを封じた裏側に迫った――。延長12回までもつれ込んだ28日のロッテ戦(ZOZOマリン)は、今季初の引き分けに終わった。攻守で大きな存在感を示したのが、ゲームセットまでマスクを被った海野隆司捕手だ。打っては2安打を放ち、守っては6回以降、7人のリリーフ陣をリードしてロッテ打線を無失点に封じた。

 ポイントとなったのは同点で迎えた7回1死満塁の場面だった。マウンドには3番手で登板したロベルト・オスナ投手。1死一、二塁から佐藤に三塁へのボテボテの内野安打を許し、満塁へとピンチは広がった。海野はベンチにジェスチャーを送り、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)がマウンドへ向かった。

 通訳を介しながら、バッテリーは時間をかけて言葉を交わした。そしてポランコを真ん中付近のチェンジアップで見逃し三振。続く宮崎をスライダーで空振り三振に仕留めた。無失点で切り抜けたオスナはガッツポーズを見せ、笑顔で海野とともにベンチへ――。限られた時間の中、バッテリーが交わした会話。試合を分けたワンシーンを、2人の言葉から紐解く。海野が伝えていたのは、明確な意思だ。

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この先で分かる3つのこと

「1点も与えない」満塁で海野が狙ったプランとは
オスナが「あそこで来てくれて…」と海野に感謝した本音
細川コーチが称賛した海野のリードに見える「姿勢」

「もうあの場面、1点も与える気はなかったです。自分は三振を2つ狙いにいったので、そのための確認ですね。まずはあのポランコの打席をどう抑えていくか、それを話しました」

 犠牲フライすら許されない絶体絶命の場面。海野は2つのアウトを三振で乗り切りたかった。「やっぱり、どのバッターも事前にミーティングした通りにはいかないので」。この日、ポランコを3打席連続三振に封じていたが、状況は1死満塁という大ピンチ。絶対にミスしない攻め方を、改めてすり合わせるためにタイムを取った。

 オスナも“相棒”の判断に感謝する。「あそこは良い打者が続くので、『こういうプランでいこう』と話し合いをしました。もう1度考えを整理して、ゼロで抑えられたのは本当によかったです。あそこで海野がマウンドに来てくれたおかげです」と笑顔で振り返った。どうやって打ち取るか――。お互いに同じビジョンを描いていたからこそ、狙い通りの連続三振で切り抜けることができた。

 これで4月29日のオリックス戦(京セラドーム)以降、19試合連続無失点を継続している。22試合に登板して12ホールド、防御率0.82という抜群の安定感だ。「ピンチを自分で招いてしまいましたけど、0点で抑えることが一番大事だったのでよかったです」と胸を撫で下ろした。

 雨天により2日連続で試合は中止。休養を挟み、3日ぶりに挑んだゲームは引き分けに終わり、小久保裕紀監督も「中継ぎがよく頑張りました」と熱戦を振り返った。6回以降をリリーフ7投手が無失点に抑えた一戦。細川享バッテリーコーチは、引っ張った海野の姿を「ピッチャーのいいところを引き出そうという思いは、すごく出ているんじゃないかなと思います」と評価した。

 この引き分けで首位・西武とのゲーム差は「1」に縮まり、30日からは直接対決3連戦を迎える。最大のピンチを乗り切った海野は「うまくハマってくれました」と淡々とした表情で語り、バスへ乗り込んだ。その働きは間違いなく光っていた。

ピンチを切り抜けガッツポーズを見せるロベルト・オスナ【写真:加治屋友輝】
ピンチを切り抜けガッツポーズを見せるロベルト・オスナ【写真:加治屋友輝】

(森大樹 / Daiki Mori)