庄子雄大に光を与えた“あるバット”…筑後のロッカーで「ふと目に入って」 11日ぶり先発でヒーローになれた舞台裏

  • 記者:長濱幸治
    2026.06.26
  • 1軍
決勝打放ち、雄たけびを上げる庄子雄大【写真:栗木一考】
決勝打放ち、雄たけびを上げる庄子雄大【写真:栗木一考】

14日のヤクルト戦以来となる先発で決勝打

 11日ぶりのスタメン出場で響かせた快音は、“あるバット”のおかげで生まれたものだった。「たまたま、ふと目に入って。『あ、使ってみようかな』と」。知られざる舞台裏を明かしたのは、庄子雄大内野手だった。

 23歳の意地がこもったような打球だった。25日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)。試合を決めたのは庄子の一振りだった。同点の6回2死二、三塁。山崎の直球を振り抜いた打球は二遊間を破り、走者2人をホームに迎え入れた。「試合に出られない悔しさはやっぱりあったので」。14日のヤクルト戦以来となるスタメン起用に応えた一打が決勝打となった。

 転機はふいに訪れた。交流戦を終え、リーグ戦再開に向けた調整のために出場した17日のファーム・リーグのオリックス戦(タマスタ筑後)。庄子の手に握られていたのは自身のバットではなかった。「なかなか使う機会がなかったので……」。思うような打撃ができず悩んでいた23歳に光が差し込んだ瞬間とは――。

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(鍵かけ)

 「(周東)佑京さんから去年もらったバットです。1軍では何とか結果を残さなくちゃいけない立場なので、なかなか試す機会がなくて。形は僕が使っているものと一緒なんですけど、もらった方が10グラムほど重たいですね。気分転換も兼ねて使ってみた感じです」

周東佑京のバットを手にする庄子雄大【写真:森大樹】
周東佑京のバットを手にする庄子雄大【写真:森大樹】

復調のきっかけとなった2軍戦「気分転換も兼ねて」

 周東佑京外野手から授かったバットの“ご利益”は、想像以上だった。出場した2軍戦では2安打をマーク。19日から再開したリーグ戦では再び自身のバットに戻したため、使用したのはわずか1試合のみだったが、庄子の身体に起きたのは“明確な変化”だった。

「重いバットを手だけで操作しようとすると、どうしてもうまく振れないので。下半身主導のスイングをしようとしたら、いい意味で力が抜けたというか……。そういう感覚を思い出せたのはありましたね」

 5月10日のロッテ戦から25試合連続でスタメン起用されるなど、一度は定位置を掴みかけた庄子。だが、アマ時代には経験のない連戦に見えない疲れは溜まっていた。交流戦終盤には打撃の調子を落とし、先発を外れる日もあった。そんな状況で出場した2軍戦。ロッカーでふと目にした周東のバットを手に取ったのも、何かの暗示だったのかもしれない。

 11日ぶりのスタメンでヒーローとなった25日の試合後、庄子は真っすぐに前を見据えて言い切った。「『これを続けていけば大丈夫そうだな』というものが、まだはっきりとは見つかっていないんですけど。今日の2本のヒットをいいきっかけにできるように。そういう日にしたいなと思っています 」。見えかけた定位置奪取、そして再びベンチを温めた日々――。すべての経験が23歳の成長につながっている。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)