誕生日祝福の舞台裏「これ頂いたんです」
「これ、晃さんから頂いたんです」。石見颯真内野手が嬉しそうに見せたのは、腕に光り輝く「エルメス」のバングルだった。石見が20歳の誕生日を迎えた6月10日のこと。練習を終えてスマートフォンを開くと、「今日誕生日やったんか。おめでとう」と、中村晃内野手からDMが届いていた。
高卒2年目の若鷹と、チームを支えてきた背番号「7」が交わったのは、2月の春季キャンプだった。石見は右膝痛のため、中村晃は腰の手術のリハビリのために共にタマスタ筑後で過ごした。「本当にその期間で話せただけだったので……携帯を見たら『え、晃さんから連絡きてる!』って。めちゃくちゃびっくりしました」。
突然の連絡に驚きと喜びを隠せなかった。年齢もポジションも異なる2人ーー。打ち解けたきっかけは、春季キャンプでの中村晃のある行動だった。「正直、話す前は怖そうなイメージだったんですけど……」。20歳が明かしたのは祝福の舞台裏、そして嬉しかったベテランの気遣いだったーー。
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この先で分かる3つのこと
中村晃選手から贈られたバングルに隠された「意外な事実」
2人の距離が縮まるきっかけとなった、先輩からの「一言」
中村晃選手が明かした、自身の「本音」と石見選手への評価
「『何が欲しい?』と聞かれて。最初は『大丈夫です』って言ったんですけど、『財布とか?』と言われて。『じゃあ……ネックレスとか身に着けられるものが欲しいです』って答えたら、下さいました」
嬉しかった誕生日の祝福。2月の春季キャンプ中は言葉を交わす機会が多かった。その中でも20歳の記憶に残る瞬間がある。共にライブBP(実戦形式の打撃練習)を行っていたある日のこと。「うわ、全然違うな……すごい」。ベテランの打撃を羨望の眼差しで見つめていると、突然声をかけられた。
「自分が2三振くらいして、その後に晃さんがすぐヒットを1本打ったんです。そしたら晃さんが『お前が打つのはまだ早いわ!』って、少しふざけた感じで話しかけてくれて。そこから話せるようになりましたね。その時のことは覚えています」
今季でプロ19年目を迎えたベテラン。中村晃が高校2年生だった2006年に石見は生まれた。「正直、話す前は怖そうなイメージでした。晃さんも『もっと後輩に喋りかけてほしいけど、そう思われてるよね絶対』と言っていたので。嬉しかったですね」。先輩からの気遣いに、心から感謝の言葉を口にした。
石見は「本当にいい選手だと思いますよ」
2年目の今シーズン、石見はファームでチームトップの53試合に出場して打率.253、2本塁打、11打点と経験を積んでいる。ルーキーイヤーだった昨季は高いポテンシャルを発揮していたが、右膝痛でリハビリ調整をする時期もあった。しかし、今季は試合に出続けて大きな成長を遂げようとしている。
「春季キャンプの時はもちろん(A組、B組のいる)宮崎に行きたいとも思っていたんですけど。S組の方たちと一緒に練習させてもらえて、晃さんや(今宮)健太さんの練習を見たり、聞けたりしたので。あの時間は良かったなと思います」
中村晃も石見の存在をこう明かす。「本当にいい選手だと思いますよ。リハビリの時、結構喋っていました」。将来を嘱望する存在だからこそ、その姿が気になるのかもしれない。中村晃のような、プロの世界で長く活躍する選手になるために――。忘れられない20歳の誕生日になったに違いない。
(森大樹 / Daiki Mori)