正木智也の存在は「理想に近い」 首脳陣も絶賛…6発の躍進を支える“捨てる意識”とは

  • 記者:長濱幸治
    2026.06.14
  • 1軍
トップバッターに定着している正木智也【写真:栗木一考】
トップバッターに定着している正木智也【写真:栗木一考】

1番打者で出場した24試合で18勝6敗

 打席内での凛とした表情が、怖さを際立たせている。今やトップバッターに定着している正木智也外野手。1番打者に入った5月16日から6月14日のヤクルト戦(みずほPayPayドーム)まで、チームは18勝6敗。波に乗るホークスを力強くけん引している。

 5年目の今季は開幕直前に右足の蜂窩(ほうか)織炎による手術を受けたことで出遅れたが、5月15日に1軍昇格してからは確かな存在感を示している。ここまで25試合に出場して打率290、6本塁打、17打点。無安打に終わったのは5試合あるが、出塁できなかったのはわずか1試合。強打の1番としての役割をしっかりとはたしている。

 普段は優しい表情が目立つ26歳が追い求めるのは“怖さ”だ。首脳陣が「理想に近い」と賞賛する正木が好調の要因に挙げたのは“捨てる”意識だった。

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この先で分かる3つのこと

正木が打席で密かに“捨てて”いるものとは?
「1番=俊足」の常識を壊す驚きの打撃理論
長谷川コーチが絶賛する「確実な進化」とは?

「去年と比べて、ボール球をあまり振っていないというのはあると思います。ちゃんと狙い球を絞って、打てないなと思ったボールはたとえストライクでも振らない。そこの割り切りは徹底できているかなと思います」

1番打者=俊足好打のイメージを壊す

 正木がスイングをかけるのは、ヒットになる確率が高い球だけ。その意識が低めの変化球をはじめとした相手バッテリーの誘いに乗らない要因にもなっている。打率.290に対して、出塁率は.398。13日のヤクルト戦でも安打は出なかったものの3四球を選んだ。

 1番打者=俊足好打のイメージも壊すほどの活躍ぶりだ。「僕はそんなに足は速くないので。相手にとっては長打が一番いやだと思うし、そこは一番意識しています」。プレーボール直後に正木と対峙する相手チームの重圧――。それを見透かし、心がけているのはフルスイングだ。

「初回から長打が出ればチームも盛り上がりますし、点が入る確率も高いと思うので。僕が狙うのはノーアウト一塁よりもノーアウト二塁です」

 正木の躍動に目を細めているのが、打順を組む長谷川勇也打撃兼スキルコーチだ。「ボール選びがすごくうまくなりましたね。いくところは全力でフルスイングできるし、打つべきボールじゃないと思ったらやめられる。ヒットが出なかった時もありましたけど、そこはブレずにやれていましたね」と高く評価する。

 打順決めの際は1番打者から考えるという長谷川コーチは「今は迷わずオーダー表に書き込めていますね。僕の考える1番打者の理想に近い」と正木の存在の大きさを強調する。

「相手が嫌がるくらいに振って、それでフォアボールを取れるならいいですし、自分には長打が求められていると思うので。そこはぶれずにやっていきたいと思います」。優しい顔に怖さを秘める26歳のバットが、チームをさらに勢いづける。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)