“ガッツポーズをしない男”が見せた魂の叫び 上茶谷大河が口にした「やけくそ」…ブルペンで感じていた異変

  • 記者:森大樹
    2026.06.04
  • 1軍
ガッツポーズを見せる上茶谷大河【写真:栗木一考】
ガッツポーズを見せる上茶谷大河【写真:栗木一考】

上茶谷が延長11回を締め括った

“ガッツポーズをしない男”が見せた魂の叫びだった。フルカウントから投じた渾身の153キロ直球がミットに吸い込まれる。4時間半に及んだ熱戦を締めくくる最後のアウトを奪うと、上茶谷大河投手は力強く拳を握り、大きく吠えた。プロ8年目で挙げた初セーブだった。

 3日に行われた中日戦(バンテリンドーム)。3点リードで迎えた延長11回。8番手として首脳陣が送り出したのが上茶谷だった。ヒットと四球でランナーを背負い、2死一、三塁と一発出れば同点の場面。最後の打者・石川昂を見逃し三振に打ち取った。

 普段はムードメーカーとして明るくチームを盛り立てる右腕だが、マウンド上では“先発の気持ち”を知っているからこそ、他の選手の人生を背負い魂を込めて投げる。だからこそ「いっぱいいっぱいなんですよ」と明かし、ピンチを切り抜けても表情を変えず、ガッツポーズを見せることもほとんどない。

 しかし、この日は違った。3点差で迎えたセーブシチュエーション。これまで経験したことのない重圧の中で、胸の奥から湧き上がってきた感情はいつもとは全く異なっていた――。

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この先で分かる3つのこと

普段は見せないガッツポーズが飛び出した「意外な理由」とは
ブルペンで右腕を襲った、経験のない「身体のある異変」とは
極限の状況で右腕が漏らした、守護神への「率直な本音」とは

「こんなこと言ったらあれなんですけど……最後はもうやけくそだったんですよ。(ガッツポーズは)思わず出たというか、もう考える暇もなくて。本当にふり絞って投げていました」

 普段は見せない渾身のガッツポーズ。その理由を語った「やけくそ」という言葉からは、あのマウンドがいかに極限状態だったかが伝わってくる。

「ブルペンから全然違いました。口が乾いて何かが飲みたくなるというか……。いつも緊張するんですけど、全く違う緊張感。3点差があってもすごいプレッシャーを感じました」

 通算147試合に登板してきた右腕でも、味わったことのない感覚だった。「スギ(杉山一樹)ってこんな感じなんやって……」。思わず言葉を漏らした。それでも、1死一、二塁のピンチでは、開き直り、遊ゴロで1つ目のアウトを奪い、最後は見逃し三振。チームを勝利へ導いた。

「一球の重み。普段、スギが感じているものを少しだけ感じさせていただきました」。重圧を乗り越えた先に生まれた、魂のガッツポーズ。普段はマウンドでは感情を表に出さない右腕だからこそ、その姿はいつも以上に頼もしく映った。

(森大樹 / Daiki Mori)