廣瀬隆太が誓った「爪痕残す」 初スタメン→決勝打の舞台裏…すぐ口にした”明日の話”

  • 記者:福谷佑介
    2026.06.04
  • 1軍
二塁ベース上で拳を突き上げる廣瀬隆太【写真:栗木一考】
二塁ベース上で拳を突き上げる廣瀬隆太【写真:栗木一考】

延長11回に激戦に終止符を打つ決勝の2点適時二塁打

 高々と右手を突き上げた。4時間39分に及ぶ大激戦に打った終止符。二塁ベース上で廣瀬隆太内野手の表情が綻んだ。

 3日にバンテリンドームで行われた中日との交流戦。その瞬間は5-5の同点で迎えた延長11回に訪れた。すでに時計の針は10時を回っていた。近藤健介外野手が四球で出塁し、栗原陵矢内野手は相手遊撃のエラーで続いた。海野隆司捕手がバントを成功させ、牧原大成内野手は申告敬遠。1死満塁となった。

 ネクストバッターサークルにいた廣瀬は冷静だった。「あそこで満塁にするのはセオリーだと思ったんで、あまり気にしていなかったです」。勝野が投じた145キロの外寄りの真っすぐを、弾き返した。打球は中堅手の頭上を超えてフェンスに直撃。2人の走者が生還し、決勝の勝ち越し2点適時二塁打となった。

 今季チーム53試合目での初スタメンのチャンス。2回の二塁への痛烈な内野安打を皮切りに、10回には中前安打、そして決勝打と、4打数3安打2打点と、抜擢に結果で応えてみせた。

 ようやく巡ってきた初スタメンを廣瀬はどのように知り、何を思い、そして試合に臨んだのか。

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この先で分かる3つのこと

・初スタメンを告げられたミーティングと廣瀬の決意
・廣瀬のスタメン抜擢…小久保監督が語ったその理由
・2軍降格後も腐ることなく、技術向上に集中した廣瀬の思い

 スタメンを告げられたのは試合前練習が始まる前のミーティングだった。千載一遇のチャンス到来。廣瀬の胸には沸き立つものがあった。

小久保監督が見ていた2軍での姿「ずっと良かった」

「なかなかチャンスも少なかったので、しっかりこの試合で『爪痕を残そう』と思って、臨みました」

 5月26日に1軍再昇格を果たしてから9試合目。小久保裕紀監督は「ずっと状態は良かった」という。DH制のないセ・リーグの本拠地ゲーム。毎試合守備につくことの難しいベテランの柳田悠岐外野手を休ませる必要もあり、廣瀬に白羽の矢が立った。

 今季は開幕1軍入りを果たしながら、わずか8日後の4月3日に2軍に降格。「編成的に出るところがなくて」と指揮官が語るように、状態云々ではなく、1軍のメンバー構成上、出場機会が得られることが難しいとの判断でファームでの調整を余儀なくされていた。

 不本意な出場選手登録抹消も、腐ることなく、日々のプレーにフォーカスした。「もうとにかく、自分の技術を上げていくっていうところに集中していました」。2軍では、28試合で打率.300、2本塁打15打点。コンスタントに結果を残し続ける姿を指揮官も見ており「2軍でもずっと良かった。チャンスをモノにしましたね」と目を細めた。

「とりあえずホッとしてるっていう気持ちが大きいです」。抜擢に応える3安打の活躍に、廣瀬はこう本音を溢した。ただ、これはスタートに過ぎない。「明日のスタメンの可能性もあると思うので、しっかり準備したいと思います」。すぐに気持ちを切り替えていた。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)