栗原陵矢の命運決めた“開幕スタメン議論” 首脳陣が明かす真相「強いホークスであり続けるために…」

  • 記者:長濱幸治
    2026.06.01
  • 1軍
本塁打を放った栗原陵矢を出迎える小久保裕紀監督
本塁打を放った栗原陵矢を出迎える小久保裕紀監督

5月は11本塁打&26打点…チームも直近9試合で8勝1敗

 またもこの男がホークスに勝利をもたらした。5月31日の広島戦(みずほPayPayドーム)。6回に1点を先制し、なお1死二塁の場面で、栗原陵矢内野手の打球は最深部の右中間スタンドに吸い込まれた。悠々とグラウンドを1周する姿には、ある種の貫録が漂っていた。

 手が付けられない1か月だった。5月は25試合に出場し、ともにリーグトップの11本塁打、26打点をマーク。小久保裕紀監督も「月間MVPの最有力候補ですよね」と笑みを浮かべるほどの活躍ぶりだ。チームも栗原の打棒に合わせるかのように、ここ9試合を8勝1敗と上昇気流に乗りつつある。

 遡ること2か月、シーズン開幕戦となった3月27日の日本ハム戦(同)。この一日が栗原の“分岐点”となっていた。「開幕をスタメンでいくか、本気で議論したので」――。小久保監督が明かした決断はどのように下されたのか。首脳陣が改めて振り返ったのは、栗原陵矢というプレーヤーに対するリアルな評価だった。開幕前日の「3・26」に隠されていた“真相”に迫る。

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この先で分かる3つのこと

5月だけで11発26打点!小久保監督も認める栗原陵矢の覚醒
オープン戦の成績は野村勇が上…それでも栗原に懸けた舞台裏
「今年に限らず…」長谷川コーチが明かした強いホークスへの戦略

「オープン戦とシーズンは違うというのが大前提にありますね。逆に、消去法で候補だった(野村)勇もそこまで(状態が)いいわけでもなかったじゃないですか。そこで『とりあえず栗原に懸けてみよう』ということで決めました」

数字上は野村に分も…決断理由は「ホークスの未来」

 そう語ったのは村松有人野手チーフコーチだ。栗原は今春のオープン戦で打率.216、0本塁打、2打点と苦しんでいた。開幕サードの対抗馬だった野村勇内野手は打率262、2本塁打、5打点。数字上では野村に分があるようにも思えるが、決断の理由はそれだけではなかったという。

「チームの主軸として、中心でやっていってほしいという思いはすごくあるので。やっぱり開幕戦はスタメンでいかなきゃいけないという部分はありました。開幕したら上がってくるだろう、変わるだろうというのは当然あったので。期待を込めて任せた、という形ですね」

 議論が行われたのはシーズン開幕前日の3月26日だった。「ずっと栗の状態が悪かったので。どうしたら良くなるのかというのをこちらサイド(コーチ陣)でずっと話し合ってはいましたね。その後に監督とも話し合って。それでも『中軸を打たせよう』という話にはならなかったですね」と村松コーチ。首脳陣によって出された結論は、「7番・三塁」でのスタメン起用だった。

「今年に限らず、この先のホークスを考えて、というところですね」

 そう明かしたのは長谷川勇也打撃兼スキルコーチだった。開幕オーダーに栗原の名前を記入したのには、明確な意図があったという。

「柳田(悠岐)とかコンちゃん(近藤健介)も、もう年齢が上がってきているので。(栗原には)1人立ちしてもらわないと。この先、何年後かを見据えた時に、ホークスが強くあり続けるために。そこが理由としては一番ですね」

「1/143」とも捉えられる開幕戦だが、そこに栗原が名を連ねたことが今に繋がっているのは間違いのない事実だ。首脳陣がかける期待と、それに応えた29歳。本当の意味でチームの中心となれるのか。それは2026年シーズンが終わった時に分かるはずだ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)