大ピンチなのに超笑顔…マウンドでツッコミ「言わんのかい」 上茶谷大河にかける牧原大成の“秘密の言葉”

  • 記者:森大樹
    2026.05.06
  • 1軍
満塁のピンチで言葉を交わす牧原大成と上茶谷大河【写真:加治屋友輝】
満塁のピンチで言葉を交わす牧原大成と上茶谷大河【写真:加治屋友輝】

大ピンチも…上茶谷がマウンドで笑顔を見せていた笑顔

 大ピンチのマウンドで、笑みを浮かべていたのには理由があった。張り詰めた場面だからこそ、その表情は強く印象に残った。ベルーナドームで行われた5日の西武戦。5回2死満塁、試合の勝敗を分ける場面を迎えた時だった。上茶谷大河投手が口元にグラブを当てながら言葉を交わしていた相手は、牧原大成内野手だった。

 上茶谷は先発・松本晴投手の後を受け、2点リードの5回1死二、三塁でマウンドへ。先頭のネビンを空振り三振に斬るも、続く林安可に四球を与え、満塁のピンチを迎えた。一度マウンドにナインが集まり、輪が解けた後も、2人だけが残って会話を続けていた。

 そして平沢をわずか2球で左飛に打ち取り、大ピンチを無失点で切り抜けた。極限のマウンド上で、どこか楽しそうにも見えた2人の姿。手に汗を握るような状況でも、地に足をつけていたことは間違いない。試合後、上茶谷は「いつもそうです」と笑って振り返った。明かされたのは、関西出身の右腕による鋭いツッコミ。今季の好調ぶりを支える、意外なやり取りがあった。

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この先で分かる3つのこと

毎登板の恒例行事? マウンドで交わされる「言葉」
満塁の窮地で上茶谷が思わずツッコんだ「痛恨ミス」
救世主・上茶谷の快投を支える意外な「信頼関係」

「毎回、最後に何か“一言”付け足して、笑かしてくれるんです。でもきょうはあの場面で(牧原大が)それを忘れていたので。『いや言わんのかい』って僕が言った感じでした(笑)」

 マウンド上での2人の会話は、実は毎登板の”恒例行事”だという。上茶谷も「ちょっとリラックスできるので。肩の力というか、硬さも取れる。ありがたいです」と感謝を口にした。牧原大からの声掛けは、孤独なマウンドを支える大きな力の1つになっていた。

「めちゃくちゃ緊張していました」。そう振り返る極限の登板。「最悪の状況も色々考えるんですけど、なんとかポジティブな方向に持っていけました」。そんな中で“決まり文句”がなかったからこそ、思わず笑顔のツッコミが出た。林安可に与えたストレートの四球から一転して「言わんのかい」で切り替えた気持ち。平沢に投じた2球には、力みのないボールが戻っていた。

 2024年オフに行われた現役ドラフトで加入し、今季がホークス2年目。8試合は全て中継ぎ登板で3勝0敗、防御率1.50と投手陣の救世主のような活躍を見せている。スクランブル登板や複数イニングなど幅広い起用に応え、この日は最高の“火消し”でチームを救った。小久保監督に「あれが一番大きかった」と言わしめる、MVP級の働きだった。

「僕はリリーフの中でも、たぶん試合数が少ないですし、準備も他のピッチャーに比べたら少ない方なので。疲れはないです」。淡々と語るが、その存在感は増すばかり。右腕の快投を支えていたのは、マウンド上で交わされる意外な“笑い”だった。

(森大樹 / Daiki Mori)