庄子が代走で好走塁…忘れぬ2日の楽天戦の“ミス”
“悪夢の夜”を払拭する魂の好走塁だった――。「試合で起きたミスは試合でしか取り返せないので」。15日の楽天戦(みずほPayPayドーム)、代走で出場した庄子雄大内野手が気迫のこもったヘッドスライディングを見せ、ホームで雄叫びを上げた。
1点ビハインドの7回に無死一、二塁のチャンスが生まれると、二塁走者の代走として庄子がコールされた。犠打で三塁に進むと、代打・中村晃内野手の二ゴロで迷わずホームへ突っ込んだ。クロスプレーとなったものの、間一髪でセーフの判定。一時は同点となった場面に、小久保裕紀監督も「代走でのああいう活躍は評価が上がる」と評した。
だが、この好走塁の裏には「忘れられない一戦」があった。それは開幕6戦目、2日に行われた楽天戦(楽天最強パーク宮城)だ。2点ビハインドの9回無死満塁。近藤健介外野手が右翼深くへの犠飛を放った際に、二塁走者の庄子は三塁にタッチアップすることができず。チームは1点差で今季初黒星を喫した。
この走塁ミスが起きた試合後、チームは仙台から幕張に向けて新幹線で移動した。庄子にとっては忘れられない長い夜になった。身をもって体感した悔しさ。そして誓ったこととは――。
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続きの内容は
走塁ミスで「フラッシュバック」新幹線の長い夜
コーチや先輩に救われ、練習から変えた“意識の高さ”
あの日と同じ楽天戦で果たした雪辱、指揮官も評価
「どうしてもあの走塁ミスがチラついて、あの日は全然寝られなかったですね。試合後すぐに幕張へ移動だったので、新幹線の中でもずっとぼーっとしていて。寝ようと思っても、その時の状況の1つ1つが何度もフラッシュバックして……」
目を閉じれば、三塁へ進めなかった自分の姿が何度も再生された。こみ上げる悔しさは容易には消えない。それでも、事実から目を背けるつもりはなかった。「正直、次の試合でもあのミスがよぎりました。でも、絶対に記憶から消してはいけないと思うので。将来の僕が引退するときに『あのミスがあったから成長できた』と思えるようにしないといけない」。プロでの1敗、そして1つのミスの重みを、23歳は身をもって痛感していた。
「正直、去年はここまでチームの勝敗に直結する場面で(試合に)出ていなかったので。僕のミス1つでチームの勝敗が変わってしまう。その責任の重さを感じました。もちろん今までもその思いはあったんです。でも、だからこそ『僕の走塁、僕の守備でチームが勝てた』という試合を作りたい。そんな状況で僕がグラウンドにいたいと、より思うようにもなりました」
同じ楽天戦で払拭「首脳陣の信頼を…」
「どうしてそうなったのか。そうならないためにはどういう気持ちで、どう判断すれば良かったのか」。試合後に大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチ、本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチとミスを振り返った。その中で首脳陣や周りの先輩たちから「気にすんな、俺もよくそういうのやっていた」と声をかけられ、少しだけ救われた。振り返る中で、練習の意識にも変化があった。
「現時点で僕の判断能力が足りていない。本当に走塁は反復練習するしか上手くなる方法はないので。試合前練習でしか練習ができないので、誰よりも意識高くやろうと。前から上手くなるためにやろうとは思っていましたけど、より強く意識するようにはなりました」
そして“あの日”と同じ楽天戦でしびれる場面が巡ってきた。「ちょうど楽天戦でミスが起きて。これもたまたまかもしれないですけど、同じカードで良い走塁ができた。自信にも繋がりますし、緊迫感のある中で代走に出してもらえた。1つずつ首脳陣の信頼を勝ち取れるように、もっと良い走塁をしていきたいです」。吹っ切れたような明るい表情を試合後に見せた。
「この(代走という)ポジションにいる選手の大切さをより感じたので。『やっぱり庄子は必要だな』と思ってもらえるように」。セーフを確信したヘッドスライディング――。背番号「25」の背中は、前を向いていた。
(森大樹 / Daiki Mori)