誕生日に告げられた3軍降格…察した“最後の打席” 重松凱人の本音「そっちの方が悔いがある」

  • 記者:森大樹
    2026.04.14
  • 2軍
重松凱人【写真:森大樹】
重松凱人【写真:森大樹】

3軍合流が決まった直後、重松が明かした本音

 試合が終わると、チームバスを1人で見送った――。12日に行われたファーム・リーグのオリックス2軍戦(杉本商事バファローズスタジアム)。試合後に少し慌てた様子で荷物を整理していたのは、育成の重松凱人外野手だった。26歳の誕生日を迎えたこの日、3軍降格を告げられたからだ。

 3月31日からの関東遠征で2軍に合流すると、3日の巨人戦(Gタウンスタジアム)に「1番・中堅」で出場。この試合は3打数無安打に終わったが、その後は2度の代打機会で安打を記録した。少ないチャンスをしっかり生かした中での通告だった。

 亜大から2022年育成ドラフト9位で指名され、今季が4年目の26歳。“最後の打席”で降格を察していたという。「悔しい気持ちはあるんですけど……」。決して後ろ向きではない言葉で、今の率直な思いを明かした――。

会員になると続きをご覧いただけます

続きの内容は

異例の代打で「最後」を確信…打席で抱いた「覚悟」の正体
快音の裏で吐露した本音。重松が安打より悔やんだ「プレー」
3軍降格も…沈まない男を支えるコーチたちの助言

「『今週までだろうな……』とは思っていたので。最後の打席は普段とは少し違う緊張感がありました。普段は左投手の時に代打が多いんですけど、相手ピッチャーが右、しかも山ちゃん(山本恵大)の代打という状況。普段だったらあり得ないところで代打が来たので。『あ、これ最後の1打席かな。多分打っても打たなくても(3軍に)行くな』と思って」

 11日のオリックス戦(さとやくスタジアム)、9回2死走者なしの場面。代打で登場すると、初球の外角直球を逆方向に弾き返し、一、二塁間を抜ける安打となった。打席に入る前には、金子圭輔2軍内野守備走塁コーチから「打つか打たないかは2分1だから」と声をかけられた。その言葉で余計な雑念を捨て、割り切って打席に臨むことができた。

「自分の中では、すごくスッキリしたというか。『もうやることをやるだけ』と思いながら打席に立って。結果は自分らしくないヒットではあったんですけど、初球からしっかり振れたので、後悔はなかったです。むしろ、あの後に盗塁ができなかったことや、もっと球際の打球を捕れたんじゃないか……とか。そっちの方に悔いがあります」

昨オフには山川の自主トレに参加

 持ち前の長打力を磨きたいと考え、昨年12月には山川穂高内野手の自主トレに参加した。「ホームランかアウト。結果として単打はアウト、くらいの気持ちで」と、割り切って今シーズンの打席に臨んでいる。「思い通りにはいっていないけど、結果としてヒットが出ている……みたいな感じでした」と2軍戦での安打を振り返る。

「打席を振り返ってみても、やっぱりホームラン、長打にできる球が来た時に仕留められなかった。そこに悔しい気持ちはあります。でも、難しい球をヒットにできたことについては、今までは多分凡退していた打席だったので。プラスに捉えたいなと思います。次はバチっと仕留められるように鍛え直します」

試合後にコーチからかけられた言葉

 開幕直後はWBC特例で2軍戦の育成出場枠が増えていたが、現在は1試合5人までの規定に戻った。3軍行きを伝えられる際、森笠繁2軍打撃コーチから「結果というよりは、今はこれぐらいのスパンで(育成選手が2軍と3軍を)回っているから」と声をかけられた。

「やっぱり2軍にいないと。3軍からいきなり支配下はないと思うので。本当は2軍にいたいですけど、僕のことをよく知っている3軍のコーチの言葉、力を借りながら、自分のやりたいことをできると思うので。次、2軍に上がった時に『この前とは変わって帰ってきたな』と思われるようにやっていきたいです」

 昨年は6月に左手有鉤骨を骨折し、手術を受けた。リハビリをこなす中で7月31日の支配下登録期限を迎えた。そして今春のキャンプではC組スタート。何度も悔しい思いをしてきた。「もう後ろを向く暇なんてないので。前しか向いていないです」。背番号166から後ろ向きな言葉は一切出なかった。

「沈むとかはないので。落ち込んだりする人もいると思うんですけど、勿体ないじゃないですか。切り替えが上手い選手でありたいなって」。その表情は真っすぐだった。「頑張ります」と口にして、球場を後にした。

(森大樹 / Daiki Mori)

CATEGORY