廣瀬隆太が見据える開幕1軍 7人脱落の“サバイバル”…あえて語る「普通なら厳しい」

廣瀬隆太【写真:竹村岳】
廣瀬隆太【写真:竹村岳】

ここまでオープン戦で打率.750、出塁率.800

 途中出場から2打数2安打と自らの存在を力強くアピールしながらも、その表情に喜びの色はなかった。「普通じゃ無理だなっていう感じです」。みずほPayPayドームで行われた3日のヤクルト戦後、そう口にしたのは3年目を迎えている廣瀬隆太内野手だった。

 同日の試合、6回から二塁守備に入った。7回の打席でフォークを右前に運ぶと、9回の2打席目は152キロの真っすぐに力負けすることなく左前にはじき返した。1日の西武戦(アイビースタジアム)では2打数1安打、1四球をマーク。オープン戦はここまで2試合ながら、打率.750、出塁率.800と上々のスタートを切った。

 3日の試合前、小久保裕紀監督は報道陣の前ではっきりと言い切った。「野手4人がWBCに行っているので(牧原大成近藤健介周東佑京ジーター・ダウンズ)。今1軍に野手が19人いて、合わせて23人。開幕メンバーが16人だとしたら、7名はがここからいなくなるので。そういう争いになりますね」。指揮官が掲げた熾烈なサバイバル。廣瀬の受け止めは意外なほどに冷静だった。

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廣瀬が自らに高いハードルを課した“真意”
「欲を出したら負け」廣瀬を変えたメントレ
「普通なら厳しい」廣瀬が冷静を貫く「納得の理由」

「普通に考えたら、開幕1軍入りは厳しいと思っているので……。だからあまり気にしていないですね」

 言葉だけを聞けば、弱気にも映る。だが、24歳の目には炎が宿っている。

見つめる立ち位置「3割とかじゃ話にならない」

「オープン戦で一番打つくらいの勢いじゃないと入れないと思います。ちょっといいくらいの結果じゃ絶対に残れないので。本当に『オープン戦で廣瀬が一番打ったよね』って言われるくらいの活躍をしないと無理ですよね、普通に考えたら。(打率)4割とか5割を打たないと。3割とかじゃ話にならないだろうっていう意識です」

 普段はあまり感情を表に出さない廣瀬だが、「燃えてますよ」と決意を口にする。自身に課す“ノルマ”が高いだけに、1打席1打席のプレッシャーは想像を絶するに違いない――。そんなこちらの考えに24歳は静かに首を振る。

「目標値が高すぎるので。開き直り、割り切りという感じです。打席に入る前は『打たなきゃ、打たなきゃ』と考えますけど、打席の中でそれを考えたら“負け”だと思っているので。メンタルトレーニングを最近やっていて、欲を出しちゃったらその時点で自分のメンタルが崩れて、フォームが乱れちゃったりしてしまうので。そこは意識してます」

 1軍生き残りへの強い思いを胸に抱きつつ、あくまで打席では冷静に。その“切り離し”ができているからこそ、ここまで実戦で結果を残し続けられている。

「頑張ります。生き残ります。5割打てるように」。そう言い残し、背番号33は球場を後にした。持ち前のバッティングを発揮できなかった去年までの2年間とは明らかに違う姿が確かにある。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)