川村友斗の危機感「僕は1軍メンバーでは…」 唯一の全試合スタメン、首脳陣の“明確な意図”

中日戦に出場した川村友斗【写真:森大樹】
中日戦に出場した川村友斗【写真:森大樹】

川村がチームで唯一全4試合スタメン起用

「今年はあまり野球をやっているイメージがなかったので。走る、守る、打つ。全部をしっかりレベルアップできるようにやっています」。今年5月に右手有鉤骨を骨折し、3か月の離脱を強いられた川村友斗外野手。1軍ではわずか15試合、2軍での出場も37試合に留まった。

 10月9日に行われた「みやざきフェニックス・リーグ」の中日戦では、4回に右前打。すかさずに盗塁を決めると、7回も四球で出塁後に盗塁をマークした。7日の試合でも満塁本塁打を放つなど、その存在感は際立っている。

 そんな中、同リーグでは全4試合で唯一、川村だけがスタメンとして起用され続けている。実はこの起用には、首脳陣の“明確な意図”が隠されていた――。

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続きの内容は

・川村を「代役」と見る首脳陣の意図
・近藤・周東の状況が川村に与える影響
・川村が明かした胸中の「危機感」とは

「(佐藤)直樹も抹消されていますし、近藤(健介)と周東(佑京)の状態が悪い時に行けるように。笹川(吉康)もそうですけど、しっかり準備させているところです」

 こう明かしたのは村松有人2軍打撃コーチだ。小久保裕紀監督も、近藤と周東の状態について「(クライマックスシリーズには)間に合わない想定ですね。佑京はともかく、近藤は厳しい。脇腹なので回復は難しい」と明かすなど、1軍外野手について不透明な状況が続いている。

 高い走力と守備力を持つ川村は、ポストシーズンで必要とされる可能性がある。この時期の積極的なスタメン起用は、首脳陣が代役”の当落線上にいる選手の1人と見ていることの表れだった。

「手首の状態もあまり良くなかったので、そこの確認もですね。試合での体のキレだったり、守備や走塁というところが求められる選手なので。そこは試合の出場回数を増やしていかないと上がってこない。(1軍に)行く可能性が高いからこそ、使っているというのはあります」。村松コーチは意図を明かした。

川村がこぼした危機感「僕は…」

 川村にとって、今年のレギュラーシーズンは悔しい時間だった。開幕1軍を掴んだものの、4月9日に登録抹消。5月11日の試合で右手有鉤骨を骨折し、3か月にわたる離脱を経験した。「怪我もあって、今年は全然野球ができていないという感覚が自分の中にありました」と本音を語る。

 9月2日に登録を抹消され、そのままレギュラーシーズンを2軍で終えた。そんな26歳の口から出たのは、「(フェニックス・リーグで)僕は1軍から来ているメンバーではないので」という言葉だった。ポストシーズンを前に行われる同リーグは、調整を行う主力選手の姿もある。そんな状況でこぼれた言葉には、自身の立場に対する強い危機感が表れていた。

「でもまだシーズンは終わっていないので。やるしかないという気持ちです。(走攻守)全部でレベルアップできるように」。川村友斗の1年はまだ終わっていない。最後の最後に輝きを放つため――。宮崎で必死な姿を見せている。

(森大樹 / Daiki Mori)