代打直前でサヨナラ勝ち「勝てたんでよかった」
最強の「切り札」が切られる前に、試合は決まった。劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた2日の日本ハム戦(みずほPayPayドーム)。0-1で迎えた9回無死一、三塁で山川穂高内野手の一振りが勝負を決めた。リプレー検証を経てサヨナラが決まると、ベンチから一気にナインが飛び出した。その中には満面の笑みを浮かべる近藤健介外野手の姿もあった。
「(山川が)犠牲フライだったらいかないとか、いろいろと条件は考えられたんですけど。とりあえずいく準備はしていました」。山川の後に控えていたジーター・ダウンズ内野手の代打として構えていた近藤。自身に打席が回る前の決着に「勝てたんでよかったなと思います」と笑みを浮かべた一方で、続いた言葉は現状への偽らざる本音だった。
「まあ、まずは早くスタメンに戻れるように。今はなかなか頭から(の出場)は厳しいので。一振りで貢献できるようにとは思っていますけど……」
腰手術に左かかと痛…相次ぐ“災難”
今シーズン、近藤の身には次々とアクシデントが降りかかっている。開幕直後に腰を手術し、1軍復帰まで約2か月の時間を要した。6月17日の広島戦(マツダスタジアム)では走塁中に左かかとを痛め、その後は10試合連続でスタメンを外れている。試練の日々を送る“天才打者”は何を考えているのか。
「やっぱりスタメンとして、自分の名前がオーダー表にいなければいけないとは思っているので。そのあたりの悔しさはありますけど……。今は本当にチームが頑張ってくれているので。なんとか早く治して、そこからはずっとスタメンでいられるようにとは思っています」
近藤をベンチに置かざるを得ないチームだが、6月18日以降は10試合を7勝3敗と“ハンデ”を感じさせない戦いぶりを見せている(7月2日現在)。だからこそ、近藤も感情をあらわにすることはない。「そこはならないですね。チームも状況がいいですし、自分のやることをしっかりやっていこうという感じです」。雑念なく、自らのコンディションに向き合えている。
1日も早くスタメンに――。その思いは本人も首脳陣も同じだろう。一方で、今季ここまで災難続きなだけに、万全を期してほしいとの思いがあるのも確かだ。近藤がどのような判断を下すのか、見守りたい。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)