2軍で防御率1.97も遠い「昇格」の2文字
1軍のマウンドから遠ざかること1か月半――。2軍では防御率1点台と結果を残しながらも、なかなか「昇格」の2文字が遠い大津亮介投手。「今はめっちゃ楽しいです」。聞き間違いではない。その表情はどこか晴れやかだった。
先発に転向した2年目の昨季は7勝7敗、防御率2.87と及第点以上の数字を残した。さらなる飛躍を誓った今季、1軍登板は3試合にとどまっている(0勝1敗、防御率4.15)。2軍では7試合に登板して4勝2敗、防御率1.97と格の違いを見せる投球を続けているが、5月14日の西武戦(みずほPayPayドーム)を最後に、1軍での登板機会は巡ってきてはいない。
8回無失点と好投した22日のウエスタン・くふうハヤテ戦後、松山秀明2軍監督が右腕を評価したのは、投球内容よりも“姿勢”についてだった。「彼は腐って横を向くような選手ではない。2軍でも『もっといいものを(見せたい)』という考えを持ってくれているので。僕たちも、そこは結構助かっています」。苦しい状況でも、なぜ26歳は前を向けるのか。本心に迫った。
「ぶっちゃけ、本当にめっちゃ悔しかったです。でも、自分を評価するのは1軍の監督やコーチですし、(2軍で)腐らないようにと思える一番の要因は、今年が全てじゃないので。僕はめっちゃ長く野球をやりたいんです。その中で、やっぱりこういうマイナスな時期がないと、成長できないなと思っているので」
予感していた「いずれ来るな」…前を向く理由
プロ野球人生が常に順風満帆であるに越したことはないが、現実はどんな名選手でも苦しい時期を乗り越えて一流になる。「2年目まではうまいこと上(1軍)でやれていたんですけど、『いずれ壁が来るな』っていうのは自分でもわかっていたので。それが今年で、僕は『早めに来てよかったな』と思っています」。現状を冷静に受け止めつつ、ただ前を見据えている。
大津が口にしたのは、1つの明確な目標だった。「30歳までに開幕投手をやると決めているので。先の目標をぶらさないようにやっています」。だからこそ、2軍で過ごす時間を無駄にはできない。
「トラックマンやハイスピードカメラでリリース位置とか、回転軸とかを詳しく見ていますね。上で投げていると、分析している時間がないんですよ。次の登板に向けて、どうするかっていうことばかりなので。今は、自分の球種と向き合えている時間かなと思っています。だから、今はとにかくめっちゃ楽しいんです」
もちろん、結果を残さなくてはいけないのは1軍の舞台だ。「来年以降もずっと(ローテを)守れるように、この数か月で色々やりたいなと思っています。「めっちゃやれんじゃん』って感じです」。目の前の不平不満は胸にしまい、未来を見据える26歳。次に1軍のマウンドへ立つ時は、見違えた姿を見せてくれるはずだ。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)