1軍で勝つために“残る課題”は?
ソフトバンク2軍は、20日からのくふうハヤテ戦(タマスタ筑後)で3連勝を飾った。3試合それぞれで勝利投手となった又吉克樹、板東湧梧、大津亮介の3投手は、いずれも無失点の快投。1軍昇格に向けてアピールした。この3連戦を終えたタイミングで、小笠原孝2軍投手コーチ(チーフ)に登板した投手たちの“最新の評価”を聞いた。「野球人生が終わりに近づく」と厳しい言葉をかけた投手とは――。また、2軍へ合流した尾形崇斗投手に伝えた明確なアドバイスを送った。
ーー22日に2回から登板した大津投手は、8回3安打5奪三振無失点の快投だった。
「やりたいことは、ある程度できたという感じですね。まだ課題も残っていますけど、追い込んでからの高さ、どれくらいの場所に投げればいいのかっていうところが分かった登板だったと思います」
ーー具体的に残っている課題は?
「ピンチや追い込んだ場面で浮いたボールがいっても、相手の打ち損じで助かったところがまだありました。それは引き続き徹底して精度を上げていかないといけない。結果だけではない。そこが解決できないと、1軍へ行った時にまた5回、6回で打ち込まれてしまう。課題としていた右打者のインサイドにきちんと投げ込めているボールもあった。そこを増やせるように確率を上げることができればいいと思います」
――21日に先発した板東投手は8回3安打4奪三振無失点。松山秀明2軍監督は抜け球が今年一番少なかったと絶賛していた。
「元々そういうスタイルの投球ができる投手だと思います。出力がもう少しほしいと本人も考えていると思いますけど、コントロールはそれなりに良かったと思います。コントロールがいい時は、やっぱりきちんとゲームを作ることができているので、そこじゃないですかね」
ーー1軍へ上がるために、調子が悪い日にどうするか。
「そうですね。コントロールが悪い日だと出力もなくて打たれる。コントロールの間違い方が悪いというか、そういうのは1軍では許してもらえない。でも昨日(21日)は、間違いが少なかったかなっていう印象ですね。『間違い』の確率が今よりもっと少なくなれば、1軍でも勝負できるんじゃないかなと思います」
――20日に先発した又吉投手は6回途中5安打1奪三振無失点。前回の登板から真っすぐをほぼ投げなくなった。どういう狙いがある?
「今までは右バッターに対して、完全にボールがシュート回転して打たれていた。『毎回それをやってるうちはもう先がないし、野球人生が終わりに近づくよ』という話をしました。だったら『元々カットボールが強いので、真っ直ぐはもうゼロにしよう』という話をしたら、本人も納得して取り組んでいました。そうしたらシュート成分が抜けて、カットボールが投げきれて、良い方向に出ている。精度的にはもっともっと上にいけるでしょうけど、ちょっとずつ色を出す事ができているのかなと思います」
2軍合流の尾形に伝えた言葉「通用しないぞ」
――2軍降格後、初登板だった尾形投手には、試合前にどんなアドバイスをした?
「スライダーの改良に取り組んでいて、映像を見せて『どういうスライダーを投げたいのか』っていうのを確認して。ちょっとしたアドバイスをしましたね。本人がスライダーの曲がりが去年よりもかなり小さくなっているということを言っていたので」
――四球絡みで失点した。
「今取り組んでるスライダーでカウントを取ることができないと厳しいです。まだ試していた段階だったので、精度が低いね。それが上がってくれば、もっと楽に投げられる。最後の方に『力まなくてもボールがいくのがわかった』と言っていて、それが一番大きいと思いました。力を抜いて投げたらボールがいって、バッターの反応も違ったと本人も言ってたので。目一杯投げるピッチャーですけど『ギャップがないと1軍のバッターには通用しないぞ』という話はしました」
――大野稼頭央投手は1軍を経験して変わったように見える?
「自信持って投げていますね。そこの部分は変わったと思います。ボール自体は元々いいので、それを1軍で出せた。自信を持ってやれるようになったのは大きいと思いますよ」
ーー川口冬弥投手が支配下登録され、1軍で初登板を果たした。
「ここまで自分の課題に2軍で取り組み、それを一番いいところで、大観衆の雰囲気の中でパッと出せるっていうのはすごいなと思います。『やっててよかった』って本人も感じてるでしょうね。だからあの姿を見て、みんな励みにして『自分もできるんだ』って気持ちで練習をして、それを出してほしいです。こちら側(コーチ)としても、練習で取り組んできたことをすぐに1軍で出せるというのはありがたいですし、そういう選手が増えてほしいですね」
(森大樹 / Daiki Mori)