鮮烈2軍デビューも…宇野がリハビリ組に合流
「悔しいですね」。21日、リハビリ組の練習にドラフト4位ルーキー・宇野真仁朗内野手の姿があった。絶好調の打撃でファンを沸かせていた18歳。その表情には、もどかしさが色濃く滲んでいた。
鮮烈なデビューだった。春季キャンプ中に痛めた左手首の状態が回復し、4月に実戦復帰すると、2軍で10試合に出場して23打数9安打、打率.391と高卒ルーキーとは思えぬ結果を残した。その後、出場機会を確保するために3軍へ合流した後も打撃は絶好調。6月15日の武蔵ヒートベアーズ戦(上尾)では、バックスクリーンへ豪快な3ランを放った。
そして2軍に再合流し、迎えた同17日のオリックス戦(タマスタ筑後)。スタメン出場が予定されていた宇野だったが、試合直前に一転、出場を取りやめた。後日、宇野の姿はリハビリ組にあった――。一体何が起きたのか、コーチと本人の言葉から現状を聞いた。
「(離脱理由は)右肘の違和感です。3軍戦でホームランを打った後だったので、本当に悔しいですね……」。2軍に再合流した試合の直前、異変が起きた。「練習している時に違和感が出た形です。肘の心配があったのでトレーナーさんに言ったら『やめておこう』という感じになりました。自分からも半分(出場を取りやめる旨)は伝えましたね」と振り返る。
宇野は入団前に右肘の炎症が判明し、昨秋からノースロー調整を強いられた。「場所自体は違うんですけど、右肘は右肘なので。弱ってる場所で、そのあたりからつながって痛みが出たんだと思います。単純に投げる動作の時ですね」。
自身だけでなく、周囲の期待も高まっていた中での離脱。「2軍にまた上げてもらって、そこで結果を残せばっていうところだったので。自分の中だとやりたい気持ちの方が強かったんですけど。思い通りにいかなかったな……って感じです」と本人も悔しさを滲ませた。
高田コーチが明かす決断の背景
高田知季2軍内野守備走塁コーチは、今回の背景をこう明かす。「(違和感は)高校時代からあったような感覚だったと後から聞きました。本人はできると思ってやっていたんでしょうけど、やはり良くなかった。離脱が決まってから、本人には『怪我をしたらまた一から作り直さないといけない。少しでも良くない部分があるなら正直に言ってほしい』と伝えました」。
大きな期待がかかる逸材だからこそ、首脳陣と本人が選んだ慎重な決断だった。「頑張り屋さんで、どうしてもやり過ぎてしまう部分があるので。あれだけ打てて、大きな可能性があるからこそ、今は慎重に取り組んでほしい。僕らがコントロールできるところはしていかなきゃいけないと思っています」。
病院での検査を終え、リハビリ期間は約1か月が見込まれている。現在は軽いランニングやスローイングなしのノックで汗を流す日々だ。18歳のスラッガー候補にとっては悔しい時間になる。しかし、その才能を将来大きく開花させるために、今は焦らず万全の状態を取り戻すことが最優先だ。
(森大樹 / Daiki Mori)