栗原陵矢を変えた“魔法の言葉” 「いらっしゃい」の極意…試合前に助言を送ったのは?

栗原陵矢【写真:栗木一考】
栗原陵矢【写真:栗木一考】

19日の広島戦で今季最多の1試合6打点をマーク

 不振に苦しんでいた「背番号24」に復調の兆しが見えた。19日の広島戦(マツダスタジアム)で今季最多の1試合6打点をマークした栗原陵矢内野手。大暴れの裏には「ある人物」からのアドバイスがあった。

 まさに「栗原ショー」だった。初回2死一、三塁で中堅フェンスを直撃する先制の2点二塁打。4点リードの7回2死一、三塁では、相手右腕のフォークをすくい上げて右翼席に叩き込む4号3ランで一気に突き放した。9回の押し出し死球を含めて、6打点をマーク。まさに手が付けられない活躍ぶりだった。

 小久保裕紀監督は「(5回)ワンアウト二、三塁でのキャッチャーゴロ。あそこで何とか外野フライを打ってほしかったですね」とあえて注文したうえで、「当然求めるものは大きいですし、現状維持で満足しちゃいけない選手なので」と口にした。うっぷんを晴らすかのような活躍を見せた栗原に一体、何が起きたのか。

 19日の試合前、栗原にアドバイスを送ったのは村上隆行打撃コーチだった。今季ここまで打撃不振の続いていた28歳を激変させた“魔法の言葉”はどのようなものだったのか――。

「練習での形はいいんですけど、ゲームでは『打ちたい、打ちたい』と力が入りすぎるので。普通に『いらっしゃい』という感じの姿勢になればね、という話はしたんですけど。焦らないようにすれば、結果は出ると思ったので」

山川、近藤不在で増す重圧…テーマは脱力

 シンプルではあるが、今の栗原にとってはドンピシャの助言だった。現在、山川穂高内野手がファームで再調整しており、近藤健介外野手も左かかと痛で2試合欠場が続いている。主軸が不在の中、栗原にかかる重圧は一層大きくなっていた。それだけに“脱力”こそが大きなテーマとなっていた。

 数字面でも状態が上がってきていることは分かる。8日のヤクルト戦、10日の巨人戦は先発を外れたが、スタメンに復帰した11日の同戦以降は明らかに復調の気配を漂わせている。19日の広島戦までの8試合で打率.391(23打数9安打)、1本塁打、7打点、出塁率.517をマーク。本来の姿を取り戻しつつある。

 我慢を続けてきた首脳陣も胸をなでおろす。奈良原浩ヘッドコーチは「去年は軸で回ってくれた選手ですから。やっぱり彼が復調してくれると、より得点能力も上がる」とうなずく。「まだ本人も本調子ではないだろうし、色々と試行錯誤しながらというところにはなるでしょうけど。きょうみたいにホームランとか出ると、いい兆しになるんじゃないかな」と期待を口にした。

「今は気持ちのいいスイングになっていますし、打撃練習でも少しずつよくはなってきているので。いい気持ちで打席に入れています」。栗原本人も確かな手ごたえを感じている。本来のホークス打線に戻るまで、背番号24が力強く引っ張っていく。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)