途中出場で2安打…逆転負けの中で光った存在感
どんな状況でも、やるべきことは変わらない。チームは中盤に逆転を許し、重苦しい空気の中で途中出場の牧原大成内野手が気を吐いた。
18日の広島戦(マツダスタジアム)。6回2死走者なしの場面で出番がやってきた。大山凌投手の代打で登場すると、147キロの直球をセンター前に弾き返した。さらに4点ビハインドの8回2死走者なしでは、初球のフォークをとらえた打球が一塁手のグラブを弾き、内野安打とした。
黙々と結果を残しても、自身の名前がスターティングメンバーから外れる日が増えているのが現実だ。月間打率は.364と高水準をキープしているが、6月に入ってから15試合のうち8試合がベンチスタート。途中出場で2安打を放った18日の試合後、口にした言葉には覚悟と重みがにじんでいた。「自分はレギュラーでもなんでもない」--。
「何かがダメだから外されているんだと思いますし。本当に打率とかではなくて、僕らは1試合、1試合をしっかり戦っていかないといけない」
その思いは4点を追う8回の第2打席に表れていた。チームの苦しい場面でも姿勢は一切ブレなかった。「前のバッターがあっさり終わっていたので、甘い球が来るだろうなと。その球をしっかり狙おうという気持ちでいきました」。冷静な分析のもと、代名詞とも言える“初球打ち”を貫いた。
途中出場が増える中でも、準備に一切の妥協はない。「スタメンであろうがなかろうが、準備の仕方を変えるようでは絶対に成長しない。どんな状況でも自分のやるべきことを、後悔のないようにしっかりやっています」。どんなシチュエーションでも結果を残すことができる裏側には、入念な準備があった。
「もうスタメンで出ても途中から出ても、自分はレギュラーでもなんでもないので。(試合に)出させてもらうのに、必死なので」。1試合、1打席に懸ける思いは誰よりも強い。
今宮離脱でも変わらぬ責任感
15日にはチームに激震が走った。今宮健太内野手が左脇腹痛で今季2度目の登録抹消。内野陣のリーダーが離脱する事態となった。それでも牧原大は表情を引き締めて語る。
「今宮さんが抜けたからといって、気が緩むとか、そういうのはないので。自分含め、若い選手もみんなが『俺が引っ張っていくぞ』っていう気持ちでやっていると思います」
視線はチーム全体へと向いている。「1球に対する責任感っていうのは、本当にみんな強いと思いますよ」。個人の結果に満足せず、常に危機感を持ち、チームのために最高の準備をする。強い責任感を胸に抱き、背番号8がチームを力強く牽引していく。
(森大樹 / Daiki Mori)