6回2死一、二塁のピンチで柳町が好捕を見せた
自らのバットで快音を響かせられなかったものの、この日もチームに勝利を呼び込んだ。パ・リーグの打率トップをひた走る柳町達外野手が、この日は守備で魅せた。首脳陣も「1打点以上の価値がある」と唸る美技だった。
17日の広島戦(マツダスタジアム)、2点リードの6回2死一、二塁。広島・モンテロが放った左翼へのライナー性の打球をうまく滑り込んで好捕。ロースコアの試合展開で、好投する先発・有原航平投手を救う値千金のプレーとなった。
試合後、小久保裕紀監督は「大きかったですね。今日のポイントだった思います。良いチャージでした」と称賛。試合の分水嶺となったワンプレーを、本人とコーチはどう見ていたのか。今季、柳町の守備に見える“変化”とは――。
「スタートが良かったので捕れた。それよりもノーバウンドで捕ることに必死でした」。柳町本人は冷静に振り返る。打撃好調が守備に与える影響を問われると、「打撃は打撃、守備は守備。自分のやるべきことを全力でしっかりやるだけだと思っている。それが良い結果に繋がっているのかなと思います」。攻守両面での高い集中力が、好プレーを連発する理由だ。
今季、柳町の守備での貢献は数字にも表れている。捕殺数は12球団トップの「5」を記録。株式会社DELTAのデータによると、平均レベルの選手と比べた時に守備面でどれだけ失点を増減させたかを示す「UZR」において、左翼の数値に限ると、昨年までの2年間はおおよそマイナス1.0前後の数値だった。一方で、今シーズンはプラス1.1(17日現在)に転じている。
大西コーチも絶賛…柳町が見せる変化
「すごいプレーやね。あれが捕れていなかったら1点、下手したら同点になっていた可能性もある。1打点以上の価値があるプレーですよ」
華麗な美技に最大級の賛辞を送ったのは、大西崇之1軍外野守備走塁兼作戦コーチだ。「これだけ試合に出ている中で、今年は守備もずっと頑張っている。捕るのも投げるのも自信を持ってやってくれていて、頼もしいよ」と全幅の信頼を寄せた。
キャンプ当初は柳町の守備について「『普通かな』という感じだった」というイメージだったが、今では「見ていて安心感がある。守備もすごく成長している」。急激な成長を遂げる28歳に目を細めた。
小久保監督が「『外せない選手』から『チームを引っ張る、牽引する選手』になった」と評した柳町。打撃だけではなく、守備でもチームを勝利に導く。
(森大樹 / Daiki Mori)