左脇腹痛にあった“予兆” 「我慢強い男がそれだけ…」首脳陣が語った今宮健太の異変

苦痛に表情をゆがめた今宮健太【写真:古川剛伊】
苦痛に表情をゆがめた今宮健太【写真:古川剛伊】

小久保監督「しばらく時間はかかると思う」

 苦痛に表情をゆがめながらも、1度は打席に戻ろうとした。それでも限界だった。トレーナーに付き添われながらベンチに引き上げた今宮健太内野手。左脇腹を痛め、戦列を離れることが濃厚となった。

 14日のDeNA戦(みずほPayPayドーム)。5回の打席で3球目をスイングした際に体勢を崩し、バットを手放した。この時すでに異変は生じていた。強靭な精神力で再び打席に立ったが、5球目をファウルにするとベンチに向けて静かに首を横に振った。今宮なりの「サイン」だった。

 試合後、小久保裕紀監督はこう説明した。「(左の)脇腹ですね。しばらく時間はかかると思います。治療に専念してほしいですね」。今宮の離脱を事実上認めた形だ。首脳陣が明かしたのは、今宮が自ら判断を下さざるを得ないほどの状態についてだった。

「ある程度分かっている部分はあったので。(3球目に)空振りした時、『あっ』っていうのはありました。今宮健太という我慢強い男がああやってベンチに戻ってきたということは、それだけきつかったんだと思います」

1日に1軍復帰を果たしたばかりも…

 そう口にしたのは村上隆行打撃コーチだった。今宮の「異変」は突然起きたものではなかったという。誤解がないように言えば、普段から選手とトレーナーは常に体の状態について意見を交換しており、もちろん首脳陣も把握している。それでも、今宮ほどの主力となれば、本人の意見がある程度は尊重される。“五体満足”でプレーできることはめったにない。そんな中で限界を超えないよう、ギリギリのラインで選手たちは戦っている。

 奈良原浩ヘッドコーチはこう語った。「明日(15日)病院に行くので、その診断次第。ただ、脇腹は結構長引くので……。本人としても我慢できないところまできたのかなと。痛めてしまった以上はしっかりと治して、戻ってこられるようにしてほしいですね」。

 今宮自身が一番悔しい思いをしているのは間違いない。キャンプ中に左ふくらはぎを痛め、なんとか開幕には間に合ったものの、4月30日の日本ハム戦で右肘に死球を受けた影響で右腕を筋挫傷。約1か月のリハビリを経て、6月1日に1軍復帰を果たしたばかりだった。

「言うことはないですね。しっかり治すしかないですかね」。試合後、言葉少なに球場を後にした背番号6。その背中から思いは十分に伝わってきた。まずはしっかりと治し、再びチームに戻ってくるその日まで、ホークスの力が問われる。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)