5月11日の阪神戦でファウル…「右手有鉤骨鉤摘出術」を受けた
現状を受け入れ、長い道のりの一歩目を踏み出すことになった。川村友斗外野手が27日、ファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」でリハビリをスタートさせた。軽いランニングや左手だけでのティー打撃など、復帰に向けた再出発を切った。
11日に行われたウエスタン・リーグの阪神戦(日鉄鋼板SGLスタジアム)でのアクシデントだった。6回2死二塁の打席でスライダーをファウルした瞬間に、右手有鉤骨を骨折。代打を出され、途中交代を余儀なくされた。5日後の16日、球団から佐賀市内の病院で「右手有鉤骨鉤摘出術」を受けたことが発表された。
詳細に振り返る骨折の瞬間。人生初の手術を決断したのは、同じ怪我を経験した栗原陵矢内野手に背中を押されたからだった。
「ファウルの時はもう力が入らなかったです。『時間をください』って言っても(感触が)戻らなかったので。トレーナーさんが出てきてくれて、ベンチ裏に行きました」
我慢できない痛みだった。「無理でした。ベルトを取るのも痛かったですし、ユニホームも『脱がせてください』って」。翌日に病院を受診し、競技復帰まで2、3か月との診断結果が出た。数日間の入院生活を経て、この日にようやくグラウンドに戻ってくることができた。
栗原が助言「それは川村にも伝えました」
今年1月に自主トレをともにした先輩、栗原も同じ箇所を骨折したことがある。2023年8月23日のロッテ戦(ZOZOマリン)でファウルを打った際に右手有鉤骨を骨折。その後に摘出手術を受けた。川村はすぐさま電話をかけて容態を報告。「『こうこうこうで有鈎骨っぽいんですけど、どうですか』『どれくらいで復帰しましたか?』って聞いたら『(骨を)取った方がいい』と言われました。取らない選択肢はない、保存療法はないというくらいのものなので」とやり取りを明かす。
相談を受けた栗原は後輩に伝えた言葉を明かした。「僕は一発でバキッと折れたんです。川村も有鈎骨だと言っていたので『取っちゃったほうがいいよ』と。結局、繰り返してしまうので」。昨シーズンは20本塁打を放って復活を遂げたが、リハビリを経てスイングができるようになっても「違和感は残りましたね。それは川村にも伝えましたし、痛みと付き合っていくことにはなると思います」と、感覚を擦り合わせる作業は続いた。
川村は今季が4年目のシーズン。開幕1軍入りを果たしたが、4月9日に登録抹消された。降格当初は2軍でも打撃面で苦しんでいたが、打率.250まで押し上げるなど確かな上昇気流は描いていた。「状態もよくなってきていたところだった。打率も、自分の感覚的にも。全く打てなかった時よりも、勝負できるかなとは思っていました」。手ごたえを掴み始めた矢先での骨折だったが「それもありましたけど、仕方ないです」と、真っすぐに受け入れた。
利き手ではない左手で食事をすることは元々できたそうで、「困らなかったですね」と口にする。それでも「やっぱり右利きなので。やりづらいなって部分はあります」と、生活にも影響は出ているという。一歩ずつ段階を上りながら、必ずまたグラウンドに帰ってくる。
(竹村岳 / Gaku Takemura)